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シバタ塾
第1回『水分と茶温の基本』

乾燥工程の基礎となる含水率

これは、製茶における茶葉水分の工程別水分乾燥量のグラフです。

工程別水分乾燥量
グラフ1-1 グラフ1-2
※含水率400%の場合


細かいことは、それぞれの製茶工程の回で詳しく説明しますが、茶葉の水分を減らしていくにあたって、測定した含水率と乾燥の速度が基本だということを覚えてくださいね。


先生、この乾燥工程にある「含水率」ってなあに?

 

含水率とは、茶葉に含まれる水分のことで、生葉のときにはミル芽の場合は5分の4が水分だから、400%と表わします(荒茶歩留り約20%)。これが番茶になると、250〜300%(荒茶歩留り約30%)と少ない。この生葉に含まれた水分を荒茶の状態である4〜5%まで取っていく乾燥条件が製茶のポイントだから、茶葉の水分を測ることは、とても大切なことなんですよ。


ふーん。このグラフは、おいしいお茶をつくるための数値なの?


おいしいとかおいしくないというと、これはまた別の哲学がひとつ必要になってくる。この表は含水率の減量だから、水分をとる工程だけで、おいしいお茶になるかどうかはまた別です。そこに哲学として入ってくるのが「茶温」。お茶の温度が約35度、人肌で乾燥すると、葉緑素が分解されずに青いお茶ができます。38度を超すと、お茶の香りがとんでしまって「蒸れ香」になってしまう。それに茶葉が赤くなってしまいます。


では、含水率は生葉を乾燥させるために目安となる数字なんだね?

 

そう。上記のグラフは生葉を乾燥する工程を表したもので、これだけではなくて、速度も重要なんだ。乾燥と処理時間をグラフ化したものが、みなさんがFAで見ている乾燥曲線で「丁度よい速度で乾燥させれば、いちばんいいお茶ができますよ」という数値です。そして、もう片側に哲学として必要なのが「乾燥理論」です。茶温としとり。お茶の葉を熱風で乾かすと、表面から水分が蒸発していく。その蒸発していく分と同じ分だけ揉んでやると、表面はいつも濡れている。それを揉みすぎてしまうとグシャグシャになってしまうし、水分をとる方が多すぎると上乾きして、葉切れして茶温が上がってしまう。水分をとる速度と、揉み出す速度をイコールにしてやらなければだめです。


では「イコールになっているな」ってわからなきゃ困りますね。


そうそう。そこでこの湿球温度が役立つの。茶温というのは湿球温度です。温度計のところにぬらしたガーゼを巻いたものを湿球という。この温度が茶温と同じなんです。湿球温度を測ってみるとわかるけど、100度の熱風があたっても、水分を含んでいれば35度前後です。だから製茶のときに熱風をあてても、茶温は34〜5度に保たれているの。ところが、熱風で乾燥させる方が中の水分を揉み出すよりも早いと、茶温があがっていってしまうのです。ここが緑茶製造法でいちばんのポイントです。

湿球図-1
湿球図-2


いいお茶ができる茶温(湿球温度)は、何度なんですか?



実験の結果から34〜35度ということがわかっています。


なんで34度〜35度なんだろうね?

 

従来から緑茶製造の最適温度は「人肌」といいますが、人肌とは35度くらいのことを言います。茶温が34度以下だと、お茶が青臭くなってエグミが出てしまう。逆に茶温が高いと、香りがとんでしまって色が赤くなってしまいます。不思議なんだけど、おカイコさんがよく食べる桑の葉も、34〜38度だそうだよ。人の体温もこの温度だから、自然の力を感じるね。


次回は茶温としとりのお話しだよ!

 

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