ロゴ 第5回蒸熱
『蒸熱工程の実践』
お茶街道


5-3.胴回転と軸回転

5-3-1.胴回転数の調節

適度な回転数は、金網胴の中の茶葉が蒸気とよく接触し、平均に蒸されるように調節することが必要です。理想的な回転は、生葉が金網胴の頂点まであがり、中央に落ちるくらい。
適度な回転図 速い回転図 遅い回転図
適度な胴回転
葉が胴の頂点にあがって垂直に落ちる状態。
速すぎる
遠心力で葉が胴にくっついてしまい、胴中央が空洞。
遅すぎる
葉は胴の下部でうごめいているだけ。

胴回転数は、茶葉の形質(かさ密度)や蒸し度によって決めます。かさの少ないミル芽は速く、かさの大きな硬葉や番茶は回転を遅くします。
[Point1]ミル芽は速く、コワ葉は遅く

葉のかさ密度や蒸し度によって回転数を調節する。また、深蒸し茶は見かけ容量が縮小するので、生葉に対応した回転数よりも11〜15%速く回転させる。

この状態にするためには、以下のような計算式に原料生葉の原料係数Fをあてはめて計算します。
回転数式
D:金網胴の内径


 

[表1]胴回転数の原料係数(F)

※白枠内の数字は、400KE-MR1型 直径0.24mで計算したものです。
値(F) みる芽 普通 硬葉 番茶 刈番
21 17 13 11 9

標準蒸し

43
35
26
22
18
深蒸し茶
48
39
29
24
20
特蒸し茶
49
40
30
25
21

たとえば、金網胴の内径が0.24m、ミル芽の生葉、蒸し度30秒で蒸す場合
21÷√0.24=42.8回/分
(※21はミル芽の係数)

また、深蒸し茶は見かけの容積が縮小するので、生葉に応じた回転数よりも11〜15%速く補正します。

[表2]胴回転の蒸し度係数
90秒蒸し F×1.11
110秒蒸し F×1.15

 

5-3-2.撹拌軸回転数の調節


撹拌することの役割は、生葉と蒸機の接触をよくし、水分の少ない硬葉では回転を早めて、葉の表面を濡らすことによって蒸気が凝縮しやすくなり、熱伝達を助けると同時に、冷却のときに葉を冷えやすくすることです。撹拌軸の回転数は、茶葉にむらなく蒸気があたり、葉が損傷しない程度になるよう設定します。
撹拌手の速度が遅いとムラ蒸しの原因になりますから注意しましょう。

[Point2]ミル芽は遅く、コワ葉は速く

撹拌軸も葉の含水率や蒸し度によって調節します。こちらはミル芽はやや遅く、コワ葉は速めと、蒸胴の回転数とは逆です。また、深蒸し茶は柔らかくなるため、葉切れしないよう生葉に対応した回転数よりも11〜13%少なく回転さます。

撹拌手の最適回転数は、生葉の原料係数Kを使って計算式で求めます。

撹拌手
 
撹拌手の直径
[表3]撹拌軸回転の原料係数(K)
値(K) みる芽 普通

硬葉

番茶
100 135 170 200

標準蒸し

227
307
386
455
深蒸し茶
204
276
347
410
特蒸し茶
197
267
336
396

※白枠内の数字は、400KE-MR1型 直径0.194mで計算したものです。

深蒸し茶はやわらかく、葉切れしやすくなるので、生葉に応じた回転数よりも11〜15%少なくします。また、露芽や濡れはは遅く、萎凋したものは速くするといった調整も必要です。

[表4]撹拌軸回転の蒸し度係数
90秒蒸し K×0.9
110秒蒸し K×0.87

 

 

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