基本編ロゴ[土壌]11.幼木の生育環境


◆D022.新植園と改植園の生育差

長年茶を栽培してきた改植園の方が腐植度が高く、養分的には生育に適しているように思われます。しかし、新植園と改植園とでは、経験的に新植園の方が成長量が高いと言われます。改植園の土壌にどんなマイナス要素があるのか、メカニズムが解明されていませんのでその比較も確かではありません。 過去に私が嫌地現象について調べた際、なぜ嫌地現象が起こるのか原因はわかりませんでしたが、作物それぞれに他の作物に対する毒素、あるいは同作物に対する毒素があり、改植園の方が成長量が低いとすれば、その毒素が関係しているのではないかと思われます。


◆D023.風化による土壌の改善

特殊な例ですが、静岡県菊川、大東町、掛川などは頁(けつ)岩性土壌です。一般的に頁岩性土壌は中性〜アルカリ性ですが、pH2.0という非常に強酸性の茶園を見たことがあります。頁岩性土壌の場合、土壌の化学性、物理性の対策を講じなければ、初期生育が期待できません。土壌の特性によっては1年以上の時間をかけて風化させ、土壌改良を綿密に行う必要があるのです。その他の土壌でも、その特性によっては植栽までの時間を充分にとり、土壌環境を整えてから植栽しましょう。 (現在は客土などが行われています。)


畑面暗きょ・表土扱い層断面図
静岡県茶業試験場

◆D024.土壌改善の方法(造成時)

右図は試験場実証圃の断面図です。ここでの造成の手順は、基盤面をリッパー付きブルドーザによって破砕した後に表土層を1m戻して整地します。畑面に土壌改良資材(有機資材30t/10a等)を散布するとともに、畑面暗きょ(10m間隔、深さ130m)を埋設して、最後にバックホーによる深層耕を行って土壌を膨軟にしました。これらの作業は、秋〜冬の雨の少ない時期に行います。

これら一連の作業を施した後に計測した結果が下の表です。

表土扱い層における定植後の土壌理化学性
項目 実証ほの値 改善基準
透水係数 10-3〜10-4cm/sec 10-4cm/sec以上
ち密度 10〜14mm 20mm以下
pF1.5の気層 12〜34% 18%以上
pH(H2O) 4.6〜4.8 4.0〜5.0
電気伝導度 0.09〜0.14mS 1mS以下
塩基含量CaO 118〜148mg 60〜100mg
〃 MgO
133〜148mg 20〜40mg
〃 K2O
30〜35mg 25〜50mg
有効態 P2O5 7〜20mg 20〜50mg
調査時期:定植当年・H.9.8、定植2年目H.10.12
調査位置:うね間土壌深さ0〜120cm
静岡県茶業試験場による試験

化学性では、pH(H2O)は適性範囲にありますが、ECは造成直後のやせた土壌であるため比較的低い値となっています。また、塩基含量のうちCaO、MgOはアルカリ性頁岩を母岩としているため、逆に高い値となっています。


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