基本編ロゴ[生理生態]13.花芽の分化

花芽の分化の経過
花芽の分化後
参考:「着蕾と茶樹の生育」(中山仰氏)

◆C024.花芽の分化と発育の過程

花芽の分化について、農林水産省茶業試験場の中山仰博士が詳しく研究されています。
出開きとなった頂芽の中では、芽が発育を停止している間に、包葉の付け根にある腋芽(図)が発育します。この腋芽が[a]〜[g]のように発育し、[g]の時点が花芽分化期とみられています。
その後、分化後につぼみになります。 二枚の包葉の付け根にそれぞれ腋芽があり、ひとつの腋芽の発育が進むと、やがてもうひとつの腋芽も同様の経過で開花へと生育を進め、1ヶ所に2つの蕾がつきます。

腋芽

◆C025.腋芽

腋芽とは、芽の包葉の付け根(葉腋)の内側にあり、成長点をもっている芽が伸びると腋芽の生長は抑えられます。しかし、芽が生長を停止すると、腋芽が生長をはじめ、花芽の分化を起こします。


◆C026.頂芽に花芽がつく理由

花芽の分化を起す芽の多くは頂芽です。側芽というのは、相対的に栄養状態のよい強い枝から出る芽で、そこから出た芽もまた強い。しかし、花芽の分化を起しやすい三番茶生育時期の頂芽は、伸び切れなかった弱い芽の場合が多い。そのため、花芽はほとんどが頂芽に多くつくのです。しかし、弱い頂芽であっても花芽の分化を起しやすい時期に摘採をすると、腋芽が採られるため花は咲きません。


二番茶後の整枝が 花数に及ぼす影響
処理
処理時期
花数(個)
整枝
7日後
3.55
14日後
7.65
剪枝(5cm)
7日後
0.85
14日後
0.1
剪枝(10cm)
7日後
1.75
14日後
0.45
三番茶摘採
-
0
◆C027.摘採・剪枝と花芽の分化

三番茶を摘採すると、花芽の分化はほとんど起こりません。また、二番茶後に整枝を行った場合、出開き芽が取り除かれた分だけ花芽の分化を起しにくくなります。右表は、整枝、剪枝の処理時期や深さによる花芽の分化の違いを比較したもので、このデータから剪枝によって花芽の分化が抑えられることがわかります。
しかし、 根の状態や干ばつなどが影響して、剪枝後に花芽の分化を起す場合もあります。


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