◆Y006.ポット育苗の利点
ポット育苗は、ポットごと土付きで植えるため、植え傷みが少なく初期の生育によい育苗方法で、普通 挿し苗で2年かかるところが6ヶ月〜1年に短縮できます。また、定植後の根が地中に深く入りやすいことも大きなメリットです。
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生育良好な苗
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◆Y007.ポット育苗の方法
1.挿し木の時期
ポット苗は、9月に挿し木して翌年の3月に定植します。ポット苗では、根がポットの底から出ない時期までに定植するのが望ましく、挿し木後6ヶ月くらいです。
6月にポットの挿し木をする場合は、10月に定植となるため防寒が必要です。6月に挿し木して翌年の3月に定植するには、15cmポットでは底から根が出てしまうため、20cmのポットをあらかじめ使用するか、挿し木の時期を7月に変更する必要があります。
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育苗土(下はヤシガラ)
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2.育苗の準備:育苗土とペーパーポットを用意する
ポットの床土は、発根後の生育を大きく左右します。通気性、保水性のよい肥沃な土壌を使います。しかし、定植ほ場の土と大きく異なると土壌となじみにくく生育に支障が出ますから、ほ場の土そのものを使うか周辺の土を殺菌消毒し、育苗土の準備をします。育苗土は、約40リットル/冊、10aあたり600〜800リットル(1800本/10aとして)が必要量
です。ペーパーポットのサイズは、挿し木苗の大きさや挿し木時期によって選定します。
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3.ペーパーポットに土を入れる
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土入れ作業
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あらかじめ平にした苗床にペーパーポットを設置します。苗床の長さに合わせて、ポットを5〜10冊のり付けしておくと便利です。また、ペーパーポットには底が無いので、コンテナ育苗にすると後の作業がやりやすくなります。
土入れは、消毒後の乾燥した土をポットにフルイ込みます。隙間なく硬くならないようにし、水をポットの底まで通るように注いで、水が落ち着いたら挿し木をします。
土壌に隙間があると枯死する原因となりますから注意してください。
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4.ペーパーポットへの挿し木
挿し穂は普通挿しと同様2節2葉のものを使います(小口ポットでは1葉挿しの場合もある)。また、あらかじめミスト発根させた発根苗を移植するとポットの欠損が出ず、株の大きさを揃えることができます。
挿す位置は、下の葉の付け根が少しかかるくらいの深さで挿します。
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5.ポット苗の管理
ペーパーポットを設置した苗床は、乾燥防止のためポット側面 に土盛りをし、無潅水挿し木の場合はビニールトンネルに黒寒冷紗等の遮光資材を被覆します。また、普通
挿し木では通常の水分管理を行い、発根の出揃った時期から液肥を定期的に施して生育を促進します。 ポットの土壌水分は周囲と内部では乾き具合が違うので、風が当たらないように注意する必要があります。
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板囲いの方法
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黒い寒冷紗をかける
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6.ポットの置床と覆い
ポットは土中に3分の2程埋める方法と、地表に置いて周囲を板などで囲む方法、コンテナを用いる方法とがあります。 土中に埋める場合は、9月の無潅水育苗法が適しています。ポットを地表に置く場合と、コンテナを用いる場合は、水分管理に十分に注意する必要があります。組織で育苗する場合などは、人が出入りできて管理しやすいパイプハウス等で育苗すると便利です。ハウスの覆いはギョクロンネットの一重張りで、夏は覆いの上からビニールの天井を張って雨水を防ぎ、冬は側面
までビニールで囲んで保温します。
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定植作業
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7.定植
定植は普通苗と同様に行いますが、植え付け作業はとても簡単にできます。定植する前日の夕方か4〜6時間前にペーパーポットの底まで水分がゆき渡るよう潅水します。苗はフォーク等でブロックに苗取りし、コンテナ等で運搬してポットのまま定植します。
最近ではポット苗用の自動定植機が実用化されています。広い面積の茶園や共同育苗を行っている地域では利用を検討するとよいでしょう。
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写真提供:田ヶ谷茶生産組合様
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