亜熱帯性の作物である茶は、比較的温暖な気象環境を好みます。そのため温度条件によって生育に影響し、国内では年平均気温が14〜16℃程度、適期の降雨量が年間1,500mm以上の場所が栽培適地とされています。
全国主要茶産地の気温(℃)
地域
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年平均
気温
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1・2月の
最低気温
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7・8月の
最高気温
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(茨城県)大子 |
11.5
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-4.1
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29.3
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(埼玉県)入間 |
13.3
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-3.6
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28.7
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(静岡県)牧之原 |
14.9
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0.6
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27.9
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(三重県)亀山 |
14.9
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-0.1
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30.3
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(京都府)宇治 |
14.5
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-1.1
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31.3
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(高知県)仁淀 |
15.2
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0.5
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31.1
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(福岡県)八女 |
15.4
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-0.3
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30.5
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(宮崎県)川南 |
16.6
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1.6
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30.1
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(鹿児島県)枕崎 |
18.0
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4.5
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30.7
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(模式図 )
『茶生産指導指針』より
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◆W019.茶の生育と気温
右表は日本の主要茶産地の気温を比較したものです。一般的に暖かい所では生産量は多いが品質がやや劣るとされ、その理由は冬季の低温が十分でないため休眠が浅いためと推測されています。寒冷地では品質が良い傾向にあると言われますが、凍霜害にあう危険性が高く、生産量が安定しません。
新芽は10〜25℃の間で温度が高くなるほど生育が盛んとなります。10℃以下の気温では生育が停滞し、-2℃を下回ると凍害を受けます。35℃以上の高温でも生育は停滞し、40℃以上で日焼けの被害を受けます。
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◆W020.茶に必要な水分
茶の栽培に必要な降水量は年間1,500mm以上といわれ、とくに3月〜10月の生育期間に1,000mm以上必要とされています。
茶が求める水分は土壌に保水されて利用されます。したがって、蒸散量も生育環境に影響します。蒸散量は気温と日射に影響され、夏の気温が高い時には7mm/日の蒸散がみられ、冬の気温が低い時には1mm/日以下です。この蒸発散量を降水量でまかなうためには年間1,000mm以上の降水量が必要ですが、表面を流れたり、土壌に浸透したり、茶樹の利用率を考えると年間1,500mmの降水量が必要と産出されています。とくに夏の蒸散が激しい場合には多くの土壌水分が必要とされ、この時期に無降雨日数が20日を超えると干ばつの影響があります。
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