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第1回  扇屋の子育て飴 (小夜の中山)

 金谷宿と日坂宿の間にある小夜の中山の峠。その坂の途中にある久遠寺のとなりに、扇屋という1軒の茶店があります。口伝では宝永年間の開業といわれ、約300年、31代にわたって峠を越える旅人を相手に茶店を営んできた老舗です。ここの名物が「子育て飴」。夜泣き石伝説に出てくる飴で、広重の「東海道五十三次日坂」にもその飴売りの女が描かれていることから、少なくとも江戸期には有名な名物であったことがわかります。 現在、扇屋の主人である川島ちとせさんは、客にきかれるたびに、「わたしの先祖がここで仙人と暮らしとって、ある天気のいい日に麦の芽が甘かったんで、仙人の教えでその麦を使って飴をつくったんです」と話してくれるといいます。
 この飴は砂糖を使わずに大麦ともち米だけでつくられていて、透き通った琥珀(こはく)色で、甘すぎずちょうどよい甘さです。もちろん川島さんの手づくりで、完成までに1昼夜かかるといいます。茶店で食べたければ、わりばしにとってくれますから、1度訪ねてみてはいかが(1本100円)。おみやげには、今でも昔のように板でつくった輪ッパに入れ、竹の皮で包んでワラで縛った、懐かしい入れ物で売られています。




金額/大1,000円、小500円

住所/静岡県掛川市小夜の中山
電話/0537-27-1474
交通/JR東海道線金谷駅からタクシーで約30分
休み/不定期
営業時間/午前10時ごろから


子育て飴 扇屋主人 川島ちとせさん

 

 

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