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第2回 葛布 掛川98.12.08

葛布品 古くからの掛川の特産品として、山に自生する蔓性植物くずの繊維でつくった「葛布」があげられます。横糸は葛の繊維ですが、縦糸は絹、麻、木綿などを使って織り上げた高級品で、今でも地元の人々に親しまれています。黄味がかった生地が多く、その独特の天然の色あいと上品な光沢の美しさに加えて丈夫であったため、昔から全国に知られ、明治以降は壁紙として輸出もされた特産品です。 

葛布屋絵
掛川 葛飾北斎 浜松市美術館蔵

この葛布づくりの歴史は古く
「鎌倉の鶴岡八幡宮で、静御前の舞いを源頼朝が見ていた。原田荘(掛川市原田地区)西山城主の工藤祐光が葛の直垂(ひたたれ)姿であったのを目にとめた頼朝は、その直垂のことをたずねた。祐光は即、自分の領国でつくったものであることを告げた」という逸話が残されています。この話からは平安末期には特産品であったということになりますが、定かではないにしても歴史ある産物であることがうかがわれます。

 江戸時代になると、葛布問屋ができるほど葛織り物は盛んにつくられるようになりました。江戸時代の百科事典である『和漢三才図会』に「葛布は遠州懸川より出ず」と書かれるほど、掛川の葛布は有名なものでした。ほとんどが武士の衣服として使われ、直垂や袴、合羽などにつくられました。
 その後、明治以降は生産が停滞しましたが、地元向けの襖(ふすま)張り用の布地と輸出用の壁紙として生産したところ需要が伸び、戦後しばらくは掛川の町のあちこちで、葛布を織る機のカタンコトンという音が聞こえてきたといいます。今では民芸調のインテリア小物や座布団掛け、和装小物などに利用され親しまれています。

葛布のつくり方

葛布は、裂いた糸が細かいほど高級品とされ、昔から女性の手内職仕事でした。 5月から8月ごろにかけて、山で葛の若い蔓(つる)を刈り取り、葉を取った蔓を煮て、水につけて一昼夜おきます。刈った青草の間にこの蔓を入れて3日間発酵させて外皮を腐らせ、水の中で外皮を取り除き、さらに芯を抜いて繊維質を取ります。この繊維質を「葛苧(くずお)」といいます。とれた葛苧を米のとぎ汁に半日浸して艶を出します。このあとさらに水で洗って乾かせば葛苧が仕上がります。この葛苧を細かく裂いて、つなぎ合わせて葛糸をつくります。この葛の糸と麻、棉、絹で機織りにかけて葛布を織りあげ、美しい織り物製品に仕立てられます。

*参考・画像 『東海道小夜の中山』中部建設協会
*参考 『ふる里かけがわ』掛川市教育委員会

 

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