第2回 『茶温としとり−製茶の哲学』 |
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2-1.いい茶心とは?
先生、前回おいしいお茶の話で出てきた「茶温」って、どういう意味なの?
それよりも先に「茶心」の話にしようか。昔のお茶師さんがよく言ったんだ。「いい茶心で揉めてる」ってね。そのいい茶心の状態というのを表すとこんな感じかな。
これは製茶の基本的な考え方です。「いい茶心で揉む」とは、計測された数値や製茶環境をもとに総合的に判断することです。ですから何分間何度の熱風に当てて…という具体的な定数で表すことはできません。ここに記した要因がどのように影響するかが解れば、いい茶心で揉むことができます。お茶は嗜好品ですから消費者の好みに合わせることが大切だし、自然のものだから原料である生葉の状態によっても違います。さらに製茶工程では茶葉の乾燥が進むにつれて茶温としとりを保つための条件がどんどん変化します。茶温としとりを保って製茶するために、それら条件や状態に合わせて工程をすすめ、製茶機械の操作と時間を制御していくこと。これを「いい茶心で揉む」といいます。
いい茶心…そのときどきのバランスってことかしら?もっと具体的に言うとどんなことなの?
茶心とはお茶を揉んでいる状態が適度だという意味で、そのいい心というのはどのようなことかというと、熱くもないし冷たくもない。乾いてもいないし、ぬれてもいない。その状態を茶心といいます。その茶心を出すのにはどうするというと、粗揉機の熱風温度が高いと熱くなるし、低いと冷たくなるし、風量は最初は多くして、乾くにしたがって減らしていくと。それがちょうどいい状態でないと上乾きしたりグシャついたりする。さらに、バネ圧が強すぎると水が出てきてしまうし、弱いと上乾きしてしまう。それから回転数が早すぎると、かき回してしまって揉まないから、上乾きして熱くなってしまう。遅すぎるとグシャついてしまう。上図の5つの条件がピシャッと一致しないと、この条件は出てこないのです。 これらは全体のバランスが大切で、たとえば温度だけ変えて今まで100度でやっていたのを90度に下げると今度は能率が悪くなってしまう。温度を下げたら風量を多くしなければいけないわけ。もちろん回転数と投入量も関係してくる。すべてが合っていなければならないんです。
工程全体をバランスよくすすめるためには、たくさんのことを考慮しなければいけないんだね。
そうだよ。お茶師さんはいろんな条件を踏まえて判断し、調節しなければいけない。製茶機械は、含水率や湿球温度をセンサーで測定してくれるから、作業中の状態を知ることはできるけど、仕上がりのお茶を想定して工程を設定するのはお茶師さんだからね。
次に茶温としとりを詳しくおしえてもらおう!
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