基本編ロゴ[土壌]12.有機物の施用方法と効果


土壌改良効果の収量指数
処理 一番茶 二番茶 三番茶 年間
平均
指数
三要素(N,P,K) 97 94 99 97
四要素(N,P,K,Ca) 100 100 100

100

四要素+敷草 107 97 105 103
四要素+敷草+深耕 126 108 117 117
(N:窒素、P:リン酸、K:カリ、Ca:カルシウム)
試験:河合

◆D026.有機物の施用方法と効果

茶園への有機物投入は、雑草の発生を防ぐ、干ばつや寒害の予防などの被覆効果と、有機物が腐植となり土壌改良の効果を得ることができます(基本編:有機物投入)。

敷草は10aあたり1,000kgの投入が勧められています。昨今では資材の確保がむずかしくなりましたが、毎年補給することが望ましいです。
また、有機物投入によって土壌の保水性が高まります。そのため加湿土壌では通気性を悪くする可能性がありますので、施用する際には資材の種類や入れ方に注意してください。

茶園の敷草と収量を調査した結果が右の表です。土壌改良材を施しただけの茶園と、敷草を施した茶園との比較で、敷草・深耕を行った方は一番茶で26%の収量増となっています。


また、敷わらには土の流失を防ぐ効果があります。下表は、傾斜地16°と26°の茶園で土の流失を比較した試験の結果です。敷わらの効果は、7〜8月の豪雨に対して雨の衝撃から土を保護し、粒子の分散を少なくすることが効果につながっていると分析されています。
   
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
指数
傾斜度
26°
マメ間作区
310
80
450
621
2200
200
57
105
4023
59
敷わら区
495
110
165
345
640
45
39
53
1892
28
牧草間作区
305
85
580
428
2020
55
210
79
3762
55
無処理区
580
120
1252
1203
2850
250
300
211
6766
100

傾斜度
16°
マメ間作区
295
170
375
271
1900
63
47
57
3178
75
敷わら区
300
110
215
229
410
40
20
28
1352
32
牧草間作区
80
160
100
503
1650
60
39
47
2639
62
無処理区
410
175
475
593
2420
63
53
55
4244
100

降水量(mm)
252
102
237
146
128
129
272
293
1559
降水日数(日)
14
10
11
13
11
14
15
18
106
国立野菜茶試


◆D027.地力要因と維持手段との関わりあい

地力の要因となる各項目に対して、有効な茶園管理の手段を表にしてあります。このように、堆きゅう肥などの有機物は、化学性・物理性両面から有効な方法であるといえます。

土壌改良効果の収量指数
地力要因
維持手段
A)有機物
B)輪作
B)客土・
深耕
C)水管理 D)改良資材 E)化学肥料 F)施肥法 G)緩効性肥料


1.養分供給量
 
 
 
2.養分の緩慢かつ継続的供給
 
 
3.反応、酸化還元電位、塩基類濃度の緩衡能
 
 
4.毒性物質の除去
 
 
 
 
 
 


1.水分供給能、浸潤、排水性、透水性
 
 
 
 
 
2.通気性
 
 
 
  
 
 
3.易耕性
 
 
 
  
 
  
4.耐食性
 
 
  
  
 


1.腐生的生物活性促進
(有機物分解、窒素固定等)
 
  
 
 
2.寄生的生物活性の抑制
 
 
  
 
 
A)有機物: 堆きゅう肥・作物遺体・縁肥・廃棄物
D)水管理: かん排水・たん水
E)改良資材: 石灰・珪カル・ようりんなど
(草野・S51)

 


ロゴ
 
 木村塾TOP 木村先生プロフィール 基本編もくじ  

お気軽にご意見ご感想をお寄せください。

お茶街道文化会
主催:カワサキ機工株式会社

ochakaido@ochakaido.com