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−せせらぎ長者解説1−
雨ふり坊主伝承の背景
地の神守護の元話から この昔ばなしでは、小坊主が雨の日の屋敷を守ってくれたとなっているが、『遠江古蹟図絵』(享和3年・1803)に記されている同屋敷の話では、『地神守護の家』として、屋敷の裏にある地の神が屋敷を守護しているとある。 小沢家の地の神
『図絵』によると、小沢家の地の神が現れたとき、ものを着ずに寝ていたのでは…と主人に布団をかけてくれたり、秋に門前に稲束を積みあげてあったときに雨が降り出したら山伏が現れて門の中に運んでくれたという。また、昔から同家に盗賊が入ると、神霊によって身体の動きがとれなくなったとも記されている。図得が著された当時の小沢家当主は、昔から地の神を奉っていて、その地の神が常に家を守ってくれていることを藤長庚に語っており、その信仰は深いようである。
地の神は、地域によって、ジガミ、チシン、ジシン、ジノカミなどと呼ばれ、地主荒神などと荒神と混合されているところもある。屋敷の一隅や周辺に小祠や塚を設けて祀られる。地の神の信仰は多様で、稲荷や荒神、先祖、武将や山伏などを祀った例もあり、地神盲僧や祈祷者が関与している場合もある。また、地の神は荒い神で、牛や馬をつないでおくと腹が痛くなるとか、田畑の害虫をよけてくれる神として、近隣の者が集まって祀る場合もあるという。地の神には土地や屋敷を守護する地主神的性格が強く、やがて死霊を浄める役割や田と天の去来伝承などを伴い、部落で講をするところもあるが、基本的には土地についた験力ある神である。 |
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*参考文献 | 『遠江古蹟図絵』解説神谷昌志 明文出版社 |
『民間信仰辞典』桜井徳太郎著 東京堂出版 | |
*画像 | 『遠江古蹟図絵』明文出版社 |
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