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[解説-1]
鰻の意味すること
この昔話「椿の淵のうなぎ」の興味深いところは、話を構成している要素「椿」「淵」「鰻、蛇」が、それぞれが各地の伝承や宗教的な教えで、霊的、神的なものとされていることです。淵は雨乞いを行う、水神が棲むなどと伝えられ、その水神の多くは竜、蛇、鰻、山女などです。そして椿は、若狭の八百比丘尼が手に持って巡礼した東北地方に移植されたという柳田國男の説が知られ、神意の示される聖なる木と考えられています。また、松、榎、杉などとともに木の下に黄金が埋まっているという言い伝えや、椿の小槌が化けるなどといって嫌う伝承もあります。話の舞台である椿の淵が、農耕を目的に椿を伐ってできた淵であることからこのような伝説が伝えられたのかもしれません。
鰻の意味 今でも「土用の丑の日に鰻を食べれば夏バテしない」と言います。鰻は『万葉集』巻16に「石麿呂に吾物申す夏痩せに良といふ物ぞ鰻漁り食せ」という歌が初見。これは大伴家持が痩身の石麿呂を笑って詠んだ歌で、当時すでに夏場のスタミナ食として知られていたことがわかります。現代のように商業的に広まったのは、平賀源内が鰻屋にたのまれて「今日は丑」と看板を書いて大評判になったのが始めだともいいます。鰻を食する民間療法も各地に伝えられていて、肝や油、生血などで結核、眼病、中風などが治るというものでした。 反面、椿の淵の伝説と同様に、鰻を禁食とする例も各地に見られ、その理由はウナギを神の使い、水神だからという例がほとんどです。
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*参考文献 | 『日本伝説大系』別巻1みずうみ書房 |
『現代民話考9木霊・蛇』松谷みよ子著
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