You are here: TOPPAGE 歴史探訪案内 昔ばなし 第24回 椿の淵のうなぎ  

昔ばなし

椿の淵のうなぎ 小笠郡菊川町西方

昔、城東郡西方村というところに大きな椿の木があり、椿が谷と呼ばれていました。
村人たちは、畑をするのに日陰になってしまうほどに椿の木が枝を広げるものですから、切り倒してしまいました。その椿の跡に自然と淵ができましたので、村の人たちはその淵を「椿の淵」と呼んでおりました。

ある夏の日の夕方、ひとりの男が野良仕事をした帰り道に椿の淵を通り、ふと見るとウナギがたくさん泳いでいました。
24イラスト「こりゃあ旨そうだ。明日のごちそうにしよう。」
男は夢中になってウナギを捕まえ、近所の人に配るほどたくさんのウナギを捕りました。
「きっとおかぁも喜ぶぞ。」
男はにこにこしながら持ち帰り、家に着くとウナギを桶に入れて冷たい水をはって涼しいところに置きました。その晩はひとしきりおかぁとウナギを捕まえたときのことを語り合い、明日のごちそうを楽しみにして床につきました。

翌朝、男はおかぁの「ヒャーッ!」という叫び声で目がさめました。
「どうしたんだい、そんな声をあげて…」
男が縁側の方へ行ってみると、ウナギを入れた桶の傍でおかぁが桶を指差してひっくりかえっています。 桶をのぞき込んで男もびっくり。 きのう捕まえたウナギが、全部蛇になってしまっていたのです。
「こりゃぁ、どうしたわけだ。」 落ち着いてから男は考えましたが、どうも合点がいきません。 きつねにつままれたのかと思いましたが、おかぁも昨日見たときはウナギだったと言います。
近所の爺さんに聞いてみても、そんな話は聞いたことがないと言って気味悪がりました。
この話は村中で知られる話となり、椿が谷の衆はウナギを捕って食べることはなくなったそうです。

参考文献 『遠江古蹟図絵』解説神谷昌志 明文堂出版社

 

[解説-1]鰻の意味すること

[解説-2]鰻昔話・椿の淵

 

昔ばなしのもくじ 椿の淵のうなぎ [解説-1]鰻の意味すること [解説-2]鰻昔話・椿の淵  

 

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