You are here: TOPPAGE 歴史探訪案内 昔ばなし 第2回 蛇身鳥物語  

昔ばなし

蛇身鳥物語

遠州菊川の里に、愛宕(あたご)の庄司 平内という狩の好きな男がいました。
平内は、美しい妻と、娘の月小夜と、息子の八太郎と四人で平穏な暮らしをしていました。
しかし、息子と娘は、平内が鳥や獣を捕ってくるたびに、心をいためていました。
「おとうさん、どうか、もう鳥や動物たちを殺すのはやめてください」
八太郎は、何度も平内に頼みましたが、 平内はいっこうにやめようとはしませんでした。

蛇身鳥
ある日、平内はいつものように山へと入っていきました。
前の日に降った大雪で、あたり一面真っ白でした。
歩いて行くと、行く手にがさがさと黒い影が動きました。
「しめた、大きな熊だ!」
平内が矢を放つと、びゅーんと音をたて、その先でどさりと倒れる音がしました。
白い雪の上には真っ赤な血が飛び散っています。
平内が獲物に顔を寄せたときです。
「おとうさん…」
今にも消えいりそうな声がするではありませんか。
息子の八太郎が平内の狩りをやめさせようと、熊の皮をかぶっていたのです。
平内は涙を流し、わが子を抱きかかえました。

平内が亡骸を抱いて里に帰ると、 妻は変わり果てたわが子八太郎の姿を見て、狂ったように泣き叫び、 そのまま家を飛び出し、菊川の淵に身を沈めてしまいました。
それからというもの、菊川中山、海老名(あびな)のあたりに 夜な夜な奇妙な声でなく怪鳥があらわれて、里の人や旅人を襲うようになりました。
人々は「亡くなった子どもを思う女の化身では」とうわさしました。
それは、頭は鳥で、体は蛇、広げた翼は鋭い刀を編んだようになっている、 世にも恐ろしい怪鳥でした。
里人が困っていると、上杉三位良政(さんみよしまさ)公と屈強な家来橘主計助(たちばなかずえのすけ)が、帝の命令で都から怪鳥退治の武将がやってきました。
ふたりは苦闘の末、見事に怪鳥を討ち取りました。

 

昔ばなしのもくじ 蛇身鳥物語 蛇身鳥物語のつづき 蛇身鳥物語についての考察  

 

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