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シバタ塾
第7回 粗揉-2『茶温としとりを守って粗揉』
7-4.熱風量の調整

7-4-1.風量はどうはたらくのか

shiba
熱風温度は日中変える必要はないとのことですが、風量は変えるのですか?

 

表4-1粗揉工程の水分乾燥量(D・B%)

粗揉機から取出しするときの茶葉含水率はどんな原料でもほぼ100%ですから、熱風の必要量は、(表4-1)のように原料茶葉から取り除く水分量(取出量)を求め乾燥させます。
風量の調整はとてもたいせつで、恒率乾燥しながら最適乾燥速度で乾燥するよう設定します。そして熱風量は揉み手のバネ圧と深く関係してくるものです。第6回工程の流れで説明したように、粗揉工程は最初のうちは揉み込みをしないで葉ぶるいして表面水分をとり、進むにつれて揉み込みを強くしていきます。この揉み込みで茶葉の中から出た量の水分を乾かすだけの風量に調整することが、恒率乾燥するための風量調整です。

乾燥水分量は原葉によってちがいます。まず次の計算式で無水材料投入量(図・乾量)をもとめましょう。

*電子レンジを使って実際に計測することもできます。
無水材料投入量計測のページへ


shiba
どれだけ乾燥させるかを決めるのは、熱風量で調整するってことですね。では、風量計算について詳しく説明してください。

 

吸入した熱風は水分をとった分だけ温度が下がりますから、排気湿度の温度が下がります。考え方としては、排気温度の計測値から排気湿度を出して計算します。
わかりやすく言えば、たとえば100kgの蒸し葉を投入して、取出し重量が40kgだとしたら、60kgの水分が減ったことになります。この60kgの水分を何分で乾燥させるかを決めます。これを50分とすると、1分間に1.2kgの水分を取らなければならない。これを毎分乾燥量(kg/kg)といいます。そして、熱風が機内から持ち去る蒸気量で割ることで必要な熱風量を算出するというのが理論です。
熱風量の計算式-1

考え方としては上記の式です。ここで、持ち去る蒸気量は機械の排気湿度−空気湿度ですが、排気湿度の計測を正確に行うことが難しいため、係数を使って出せるようにした式がこちらです。
熱風量計算式-2
 
熱風量計算式-3
上記の式は係数を使うことによって簡略化され、下記の式4が使われるようになりました。乾湿球温度の測定と茶温の設定をすれば計算できますから、実際に使う式は式-4です。
熱風量の計算式-4(簡略式)

shiba
風量の決め方の理論はとても難しいのですね。

 


確かに難しいけど、面倒がってはいけないよ。いいお茶をつくるには恒率乾燥すること。それには揉み出す水分と乾燥させる水分量がイコールでなければならないのですから。

 

shiba
はい。この算出された風量はひとつですが、粗揉工程全体の平均ということですか?

 


算出された風量は基準風量と考えてください。この基準風量をもとに、工程ごと下表のように計算して配分します。水分量の多い粗揉第1工程では風量を強くし、水分量の少ない第5工程では風量を落とします。 この配分の仕方も重要で、最適乾燥速度というものがあります。5段階ならばこのかける数値の合計が5にならなければ、茶葉にあてる風量の基準値がくるってしまいますから、工程ごとの時間は均等に配分すること。

分配係数計算式
 

上記の式で算出した係数Fと基準熱風量から次のように配分します。
[風量分配表]
     
  5段階   3段階
第1工程 G×F 第1工程 G×F
第2工程

G×(1+F)/2

   
第3工程 G×1 第2工程 G×1
第4工程 G×((1+F2)/2)    
第5工程 G×F2 第3工程 G×(2-F)

さらに、蒸し度が30秒以上の蒸し葉の場合は、上記の数値に蒸し度係数Kを倍します。
[蒸し度係数計算式]  


それから、風量がちがうとこんなトラブルが起こります。気をつけけましょうね。

 
[Point1]適度な熱風量  
理想的な状態 中から揉み出される水分と茶葉表面で乾燥させる水分のバランスがとれた状態。
風量が多すぎる
[上乾き]
・表面が乾燥(上乾き)し、茶温が上昇。
・茶葉が葉砕する。
・葉の色が黒くなる。
・香りが悪くなる。
風量が少なすぎる
[グシャつき]
・グシャもみになる。
・能率が低下する。
・よれが不足して葉切れがする。
・葉の色が黒くなる。
・苦渋味が強くなり、水色が赤黒みを帯びる。

shiba
熱風量は毎回計算するのですか?

 


熱風量の計算式は投入量と熱風温度が関係してきますから。投入量を変えた場合はもちろん、熱風温度がお天気と関係するので、毎回計算するべきですね。

この計算した風量と乾燥速度が粗揉工程において重要なポイントです。最適乾燥速度で配分するように勉強しましょうね。

 

では、次回は粗揉第3回『粗揉の速度と強さ』についてお話しましょう。

 

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