第3回 『緑のお茶をつくろう』 |
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せっかく栽培でクロロフィルをたくさん含んだお茶をつくっても、製茶のときに壊したら困るでしょ。今度は揉む方で色を落とさないようにするにはどうしたらいいか。
前回『茶温としとり』で勉強した葉の色の変化は、クロロフィルが壊れてしまったからなの?
加熱によるクロロフィル系色素の変化 沸騰水中で加熱(茶業試験場/西条氏)
そのとおり。葉の表面の温度が高くなってクロロフィルが壊れてしまうと色が黒っぽくなったり、赤くなったりします。とくに色素の主体であるクロロフィルaが熱に弱い。このクロロフィルaを壊さないためには、茶温をあげないで揉むことが大切なのです。「上乾き」という言葉は、よく表現している言葉でね。葉緑素は葉の表面に近いところあるから、そこの温度があがるとクロロフィルがフェオフィチンという物質に変化してしまって、きれいな緑色の色素が減少してしまうんです。
ほんとだ。グラフのクロロフィルaが減ってしまっている…。緑茶のきれいな緑色というのは クロロフィルaが主流になりますが、これが高温によって右グラフのように変化してしまう。 前回の『茶温としとり』で、お茶の葉の色が変わってしまうという説明をしましたね。あの色の変化はクロロフィルが分解されて起こる変化です。クロロフィルaというのは、36℃くらいの熱で分解して灰黒色に変化してしまいます。そしてクロロフィルbというのは熱に強いが、量はbの方が少なく、bの色は黄緑色なんだ。だから製茶のときに茶温を保ってクロロフィルaを壊さないようにすれば、青緑色のきれいなお茶ができるのです。
それで茶温を保って、34℃くらいで揉むんだね。
そう。発酵茶とはちがって、緑茶は保存と同時にその復元性が大切だからね。お茶をいれたときに、摘んだばかりの状態により近い製品をつくりたい。加工することによって成分が変化してしまうことを、なるべく少なくすることが緑茶製茶の永遠の課題なんだよ。
次回はいよいよ工程のはじまり 『蒸し度と嗜好』だよ。
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