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ここが製茶の工程全体の大きな区切りで、中揉工程以降は手揉みの「仕上げ揉み」にあたります。
中揉工程は、中揉み機を導入している場合と、中揉機だけで工程を組んでいる場合の両方に対応して説明していただきます。10-1-1.中揉工程の目的
中揉工程の目的は、まず第一に精揉工程で揉むためにちょうどいい茶葉の状態にすることです。
では、精揉のちょうどいい状態とはどんな状態なのか?『新しい時代の揉捻』でお話したように、最近の製法では揉捻時間を長くとるようになり、それに伴って旧来よりも粗揉の出し度は若出しとなりました。その結果、(1)粗揉の若出しを補うことと、(2)精揉で固まったり玉になって品質が劣化するのを防ぐという大きく分けて2つの役割があります。
[Point1]中揉み・中揉工程の目的 1.茶葉の汁気を取り除く。(中揉み)
2.茶葉を均一に乾燥させ、小玉(ミノムシ)をほぐす。
3.次工程の精揉で、揉みやすく形ができやすい中火茶を造る。
中揉には、結果的にお茶のきれいな色やツヤを出すという効果もあります。10-1-2.中揉工程の乾燥
中揉み・中揉工程で取り除く水分
精揉でちょうどよい状態というのは、中揉の出し度のところでおしえていただきましょう。
まず、中揉工程では、どれくらいの水分を取り除くのですか?
中揉工程は、揉捻を終了した含水率100%前後の茶葉を32〜35%まで水分を取る工程です。この工程は、前半と後半で乾燥のしかたが大きくちがうため、前半と後半で分け、右図のように、前半(中揉み機)の出し度で75%、後半(中揉機)の出し度で32%くらいになるよう水分を取り除きます。
限界含水率イメージ10-1-3.限界含水率
茶葉の水分状態が変化するというのは、どう変化するのですか?
粗揉の出し度で「限界含水率」を勉強しましたね。
中揉み・中揉工程にも限界含水率があります。それぞれの工程で「これ以上続けたら茶温が上がってしまう」という限界で次の工程に移す。中揉の中揉み工程では、70〜65%が限界含水率です。中揉み機に入れる時の茶葉は100%の含水率ですから、まだ十分に水分を含んでいます。それが、含水率60〜70%くらいを境に、液体の水分が無くなります。製茶の様子を見ていてわかるように、それまでどんどんカサが減っていきますね。でも、ここからは、カサは減らずに水分が減少した分の重量だけが減少していきます。
液状の水がなくなって、カサが減らなくなる..。
では、乾燥のし方も変わるのですか?
液体の水分が無くなると、湿球温度のガーゼが乾いた状態になります。そこまでは茶温=湿球温度ですが、液状の水が無くなって以後の茶温は疑似湿球温度といいます。その時点からは、乾燥収縮(お茶が締まってカサが少なくなる)をしなくなり、重量は取られた水分の量だけが減少するようになります。
まだ液体の水分が残っている状態。 液体の水分が無いが、茶葉全体の組織内に水分は残っている。
上図のように茶はの中の水分の状態が違いますから、中揉の限界含水率以後は乾燥のさせ方を変えなければいけません。
では、中揉工程はどのように乾燥させるのでしょう? 『乾燥速度と水分 』で、詳しくうかがいます。 |
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