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第9回 揉捻-1『新しい時代の揉捻』
9-1.揉捻の目的と効果9-1-1.揉捻の目的
さて、揉捻のはじまりです。
まずなぜお茶を揉むのかをおしえてください。
茶の芽右のお茶の芽を見てください。茎のところは円柱形で表面積が葉の部分よりも少なく乾きにくいわけですね。このように形や水分の異なるものを同時に乾燥させますから、平均に水分を取り除くことができません。そこで、揉捻工程で葉脈や茎中心部にある水分を圧力をかけて揉み出すことで水分を均一にし、次の中揉み〜仕上げの工程をスムースに行えるよう加工することです。揉捻工程で含水率は減りませんが、茎の水分を揉み出し乾燥するのは揉捻工程だけですから、この工程で芯水をしっかり表面に出さなければ、仕上がりまで茎の水分が残り、最後の工程の乾燥機でムレてしまって良いお茶はできません。
[Point1]揉捻工程の目的 1.茎や葉柄の芯水を表面に揉み出す。
2.茶葉の水分を均一にする。(粗揉で出来た小玉をつぶす)
3.葉にヨレをつけて表面積を減らすことにより、 後の工程で均等に乾燥させる。
4.茎内部に含まれる成分を引き出す。
粗揉工程出し度の含水率100%というのは全体の平均で、茶葉の中と表面では含水率が違うのですね。
そうです。粗揉工程終了時の含水率100%というのは全体の平均であって、葉の形状まで細かく調べると、平らな葉の部分と茎の部分では含水率に差があります。揉むことによって芯水を表面へ揉み出すと同時に、葉部分をよれた形状にして表面積を減らすことにより、乾燥速度の差を少なくすることができるのです。
揉捻前は薄い葉の部分と茎部分とで含水率に差がある。 表面積を減らして表面乾燥を減らす。
葉をよれ形にするのは、形をつくるためではなくて乾燥を均一にすることが目的なのですね。
9-1-2.揉捻の効果
では、揉捻工程の効果とはどんなことがあげられますか?
効果はたくさんあるのですよ。今までは乾燥させる上での最適な工程をおしえてきましたが、揉捻は完成品としてのお茶の品質と個性にいちばん影響する工程だといえます。目的であげた3つによって、次のような効果が得られます。
[Point1]揉捻の効果 1.芯水を出す
・仕上がりの時にアメ色の茎が出るのを防ぐ。
・ムレ香、ムレ味を防ぐ。
・粗揉工程でできた玉をほぐす。2.茶葉によれ形をつける ・茶葉の締まりがよくなる。
・葉部分の上乾きを防ぐ。
・精揉機で揉みやすくなる。3.茎の成分を揉み出す ・テアニン、アルギニン、スレオニン、グルタミン等、軸部分に含まれるうまみ成分が揉み出される。
揉捻はお茶の仕上がりに大きく影響するのですね。
よく揉むと、仕上げた荒茶にどのように効果があるのですか?
最近の製茶法の発達により、新たに注目されているのが揉捻です。ある試験場で0〜60分15分刻みで揉捻効果を比較した評価では、長時間揉捻ほど荒茶の形状が細よれとなり、香気がマイルドで、水色、味ともに濃厚となる傾向にあると報告が出ています。ただし、荒茶の品質評価は熟練の試験官が行いますが、あくまで人間の五感ですから客観的数値であらわすことができませんからね。揉捻時間による比較をご自身で実験してみるといいですね。
長時間揉捻による荒茶品質評価への効果 1.アメ色の茎がなくなる
2. 形状が細よれ
3.香気がマイルドでムレ香が無くなる
4.水色の濁りが少なくなる
5.濃厚な味で渋みが少なく甘味が出る
次は新しい揉捻のポイント『揉捻時間』についてです。 |
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