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シバタ塾
第12回 精揉『精揉は創造力と操作能力』
12-1.精揉工程とは
12-1-1.精揉工程は創造性
精揉工程のはじまりです。
タイトルの 「創造力と操作能力」というのは、どういう意味ですか?
精揉工程というのは、粗揉のように投入量を計算したり、温度を計測値から求めたりといった絶対的な理論はありません。製茶理論の基本である水分を揉み出す速度=乾燥速度と茶温を守って揉むというのが原則で、投入量が少なければ速く乾くし、多ければゆっくり乾燥させます。お茶師さんが原料をみて判断し、自分なりの揉み方で揉むのですよ。
その、お茶師さんの判断というのは、むずかしいのでしょ。
原料、中揉を出した時の乾き度合い、精揉機の能力から判断して、投入量、温度、工程時間、おもりの引き具合を決めます。お茶師さんの個性が出るところと言えますね。
ですからここでは、基本的な操作をお勉強していきましょう。
12-1-2.精揉工程の目的
まず、精揉工程を「カタチをつくる工程」と考えている方が多いようですが、それは間違い。
えっ?でも、精揉機をかけると、細くてピンとしたお茶になりますよ。
結果的にね。精揉機に入れるときは、茶葉の含水率が30〜35%までになっていますから、揉み出す速度は遅くなります。精揉機のしくみを見てわかるとおり、揉み出すことに重点をおいた構造になっています。つまり目的は、心水を揉み出して乾燥すること。ここで一本一本力を入れて揉み込めば、形とツヤは結果的に出てくるものなのです。形状をつくることを目的としないで、乾燥を重視した方が上手くいきます。
それぞれの役割を理解して、恒率乾燥を守るようにおもりを引きましょう。
おもり 心水を揉み出す 回転 循環によって乾燥させる 揉盤の熱 乾燥させる+加温によってしとりをもたせる
12-1-3.精揉機の効果
では、精揉によってどんな効果が得られますか?
色沢が良くなります。これは、揉捻〜精揉の工程を通しての効果です。
ツヤが出る理由は、茶葉内部にある細胞溶液などのワックス成分が揉み出されて表面に付着して残るからです。
中から揉み出すという面では、味や香りにも影響があるのですか?
そうですね。うまみ成分が揉み出されて表面に付着し、抽出されやすくなります。
香りについては、緑茶の場合、香りは揉み出すものではなく残すものです。香りの成分は揮発性ですから、高温によって失われてしまうため、茶温を人肌に守るのですよ。色と香りを損なわないためには、茶温を守ることです。
茶市場
「問屋さんに望まれるお茶」をつくるには、精揉は重要な工程なのですか?
問屋さんは、荒茶を買ったら芽、茎、粉を篩し(とおし)で分ける。そして、各地のお茶を仕上げして商品化し販売しますから、茶農家は求められる原料をつくる必要があります。篩しに通るピンと細ヨレした本茶が、原料として問屋さんから高い評価を受けるわけです。
●仕上げ映え
「仕上げ映え」とは、荒茶を再製加工して形が良くなることをいいます。茶農家の方は、荒茶の段階で製品のような形状のお茶を作るのではなく、再製加工したときに良くなる原料を提供することが大切です。●篩分け(しわけ)
問屋さんは、芽、第1葉、第2葉、第3葉と、別々に仕分けされることができるお茶を望んでいます。砕葉や葉切れがなく、それぞれに分けられる荒茶が、良い荒茶。どんなお茶をつくるべきかイメージして製茶するのは、大切なことです。
では、いいお茶をつくる精揉のポイントとは? |
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主催:カワサキ機工株式会社