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シバタ塾
第12回 精揉『精揉は創造力と操作能力』
12-2.おもりの操作
12-2-1.最加重状態が「揉み」のメイン
創作的な工程というとかえってむずかしいのですが、精揉操作のポイントは何ですか?
精揉工程は、おもりを引いてお茶に加重をかけて揉んでいくわけですが、このおもりを最も引いた時にお茶がいい状態であることが、精揉だけでなく製茶全体を通じた極意のひとつです。 中揉の回(揉捻の出し度説明)で「製茶工程でお茶がどんなに力をかけてもつぶれない瞬間が2回ある」という話しをしましたが、精揉で最加重する時がその2回目です。この2回の瞬間に、お茶を揉むのに最も良い状態に準備できるかどうかが、製茶全体のポイントでもあります。12-2-2.遊び揉み
「遊び揉み」と呼ばれる操作があります。精揉の最後で15〜20分くらい、おもりを戻して回転数を落とし、揉盤の温度を上げることをいいます。上質なお茶をつくるときは、遊び揉みの時に、分銅を小刻みに戻しておもりが掛かり過ぎないように微妙な調整します。この遊び揉みによって、精揉から出して乾燥機に入れたときに、お茶が曲がってしまうのを防ぎ、仕上がり映えして篩分けがきくお茶になります。
どうして回転を落として温度を上げるのですか?
温度を上げることで、お茶にしとりが戻ってきます。それを高回転のまま揉んだらすぐに乾燥してガサガサになってしまうから、回転を落としてなるべく長く遊び揉みをもたせるのです。
この遊び揉みによって、ムレ香がなくすっきりした味、透明な水色のお茶に仕上げることができます。※「遊び揉み」は「含み揉み」など地方によって呼び方が違います。
12-2-3.おもりのパターン
では、遊び揉みを最後に入れるとして、おもりをどのように扱うかをおしえてください。
遊び揉みを入れる場合、現在のひとつのパターンとしては、右図のような引き方があります。でも、これは今、緑のお茶を好む流行を考慮しての1パターン。どういうお茶をつくるか、またお茶師さんの流儀や時代の流れで変わってきます。たとえば、関西ではおもりをゆっくり引いて戻さないし、静岡の川根では早めに引いてゆっくり戻しながらつくります。原料と製品設計から、自分流を研究してみてください。
12-2-3.おもりの引き方
お話したように、おもりの引き方には様々な流儀があり、茶温と恒率乾燥さえ守っていれば、引き方に理論的な決まり事はありません。ここでは、シバタ流で説明しましょうね。
1. 投入の始めは、軽くおもりをかけます。 2. お茶が温まって、葉揃えがしてきたら(2〜3分経過)おもりを引きはじめます。 3. 玉にならないくらいの引き具合でおもりを引いていきます。 4. 上記の要領で、最高加重位置までおもりを引いていく。 5. 最高加重の位置で10〜15分くらいもたせる。 6. おもりを支点位置まで数回(4回位)に分けて戻して、10分内外「遊び揉み」をする。
12-2-4.おもり移動の注意点
おもりの引き方で注意しなければいけないことは?
「返し」では2〜3回に分けて、戻しは早く戻すのがポイントです。おもりの強弱をくり返すのは「お茶がボケる」といってよくありません。それから「みのむし」をつくらないこと。茶葉がムラ乾きしているところへ分銅をかけすぎると、茶葉同士がくっついて「みのむし」になります。おもりを引くタイミングを、循環によって表面乾燥していく速度と同じになるようにしましょう。
原料によって、どのように引き方を変えますか?
みる芽は心水が出やすいので、早く引き過ぎるとしとりが過ぎて小玉になりやすいから、硬葉にくらべてゆっくり引いた方がいい。硬葉は水分が少ないので、おもりを早めに引いてしとりを持ちながら乾燥させます。
次に、火室の温度調節をおしえていただきます。 |
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