特集3.茶園観察に出かけよう
3:気象の影響をくまなく観察


防霜ファンの届かない一部に被害

■3-1.凍霜害の部分被害から防霜対策を知る

昨年の秋の気温が比較的高温に推移し、秋整枝後に萠芽した茶園も多かったようです。そうした中で、3月31日には関東で雪が降るほどの寒波に見舞われ、激しい気温低下による凍霜害の被害が心配されました。
4月6日の巡回の際では被害にあいやすい地域を観察しましたが、それほど深刻な被害は見られませんでした。写真上は萠芽から1葉期に被害を受けた芽ですが、被害は茶園全体から見たらごく一部の防霜ファンの効果が及ばない位置に集中しており、その他の畦には大きな被害は見られませんでした。

凍霜害の被害にあってもあわてずに、被害芽の中まで被害が及んでいるか確認しましょう。萠芽期の場合、包まれていた効果で中の芽だけ無事な場合があります。1〜3葉が生き残っていれば、時期の遅れは出ますが普通に摘採することが可能です。

 


近隣のトンネル被覆内の芽
部分的に棚掛け被覆

■3-2.防霜対策の効果をチェック

茶園を観察してあらためて感じたのは、防霜ファンや被覆などの対策効果です。上写真の茶園でも防霜ファンの効果が及ぶほとんどの面積は、寒さによる芽の遅れは見られるものの順調な生育状態でした。また、すぐそばにトンネル被覆が施された茶園がありましたが、内部の芽は写真のように順調に生育していました。

凍霜害の被害を受けやすい茶園を選んで部分的に被覆すると、凍霜害対策と摘採時期延長の効果を期待できます。

基本編ロゴ 防霜方法

センサー
センサーは摘採面に直置きすること
防霜ファン設定パネル
作動温度設定は+3℃に

■3-3.防霜対策は完ぺきでしたか?

凍霜害の被害を確認したら、その原因を追求します。部分的な被害であれば、防霜ファンの効果範囲をチェックし、被害にあいやすい位置を記録しておいて来年の対策情報とします。また、支柱が傾いていないか、作動の設定温度やセンサーの設置に誤りがないか確認しましょう。
木片等にセンサーを固定すると、有機物の放射熱で微妙に温度が上昇してセンサーの作動に狂いが生じます。センサーは株面に直置きして正確な温度で作動するようにします。
ロゴ [3月号-3]きちんとやろう防霜対策

林の輻射熱で芽の進みが早まる

■3-4.微気象による芽の生育差

茶園を観察する時には、微妙な立地条件による芽の進み具合の差にも注目してください。右の写真は林に隣接した部分だけ芽の進みが早くなっています。これは、林の輻射熱による微妙な温度差が影響した結果と思われます。
また、道路に隣接した畦だけ凍霜害の被害を免れたり、芽の進みが早くなることがあります。これは、気流の動きがあるため冷気が停滞しにくいためです。

ロゴ [3月号]微気象による被害程度の差
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特集3もくじ 3-1:芽数と芽重3-2:原因追求3-3:気象の影響3-4:情報収集

 

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