3月号 3.きちんとやろう凍霜害対策
-防霜ファンのチェック-


3-3-1.萌芽後の凍霜害はコワイ

春の萌芽期前後から摘採期までの低温によって起こる被害を凍霜害といいます。

芽が出てからの晩霜害による被害は、もっとも痛手となります。 3月下旬〜4月中旬に霜(後霜)が発生しやすく、被害にあう危険率が高い。被害の危険度は芽の生育ステージによって違い、芽の生育が進んでいるほど被害は深刻です。萌芽期であればそれほど収量に影響しませんが、開葉期(一葉期・一枚目の葉が開くこと)以降の霜には注意が必要です。

基本編ロゴ 凍霜害でどのくらい減収するのか


3-3-2.気象情報をチェック

凍霜害対策を行うには、まず気象庁の予報をチェックします。「遅霜注意報」が予想された場合は注意しましょう。また、被害にあった場合に被害程度を客観的に判断するためにも、毎日の最低気温を記録しておくとよいでしょう。
霜が降りる簡単な予測方法としては、夕方6時の湿球温度が6℃以下の場合に霜が降りる確率が高いといいます。

 

学舎リンク


3-3-3.防霜ファン

防霜ファンによる霜対策が行政指導によって広く普及しました。これは、防霜ファン(送風法)による方法が、もっともコストが低く安全性が高いためです。防霜ファンによる霜対策は、霜の降りる時に気温の逆転現象が起こることを利用した方法で、地上の暖かい空気を下方向へ送ることで霜の被害を防ぎます。

防霜ファンの他に、散水氷結法、被覆法などの防霜法がありますが、経済的労力的な面から防霜ファンによる送風法がもっともよいと思われます。

基本編ロゴ 防霜ファンの詳しいこと
散水氷結法
棚式被覆とトンネル被覆


3-3-4.防霜ファンのチェック

防霜ファンは、萌芽期の3週間前より運転させます。運転前に以下のことをチェックし、間違いなく作動するようにしましょう。

1. 茶園各所に立てられたファンが茶園にまんべんなく送風する角度に設置されていなければなりません。これは設置したときに調整されていますが、支柱が傾いたりファンの角度が変わると影響範囲が変わってしまいます。
防霜ファンの支柱が傾いていないか、ファン部分の角度が変化していないかをチェックします。
2. 温度センサーで作動するかをチェックします。方法は、茶缶位の容器に氷を詰めてヒタヒタに水を張ります(ほぼ0℃)。そこへ温度センサーの先端部を入れ、防霜ファンの制御盤で作動温度を0℃にして動くかどうかを確かめます。0℃で作動したら、+3℃に戻し、温度センサーを設置場所に設置します。 センサーのコードが動物等によって切られていることもあるので、注意してください。
3. 温度センサーの温感部が葉に埋もれないように。摘採面すれすれに、葉に接触しないよう設置してください。
4. 複数の温度センサーで防霜ファンを作動させる場合、もっとも低温になりやすい茶園の温感を対象とします。たとえば、右図のように高低差がある茶園の両方を対象とする場合は低い方の茶園の温感センサーで動くように設定します。
5. メインスイッチを入れたことを確認します。忘れないように。

 


3-3-5.防霜ファンの作動は+3℃に

また、防霜ファンの作動温度は+3℃で稼働するようにセットします。安心感を求めて作動温度を高く設定するのを見かけますが、外気と株面温度との関係(次ページ)から+3℃で充分です。コスト(電気代)がかかる対策ですから過剰な対策は避けましょう。

ロゴ ■3-4.外気と株面温度

←前ページへ ロゴ 
次ページへ→
 

 木村塾TOP 3-1:寒害 3-2:判断と処置3-3:防霜対策3-4:凍霜害3-5:ハダニ3-6:春整枝3-7:幼木植付

 

お気軽にご意見ご感想をお寄せください。

お茶街道文化会
主催:カワサキ機工株式会社

ochakaido@ochakaido.com