3月号 4.凍霜害の被害と処置
-適切な判断と摘採時の処置-


3-4-1.凍霜害と越冬芽の生育ステージ

凍霜害は、芽の生育ステージと関係します。越冬芽は冬を越すための自然の力を備えていますが、萌芽期、開葉期、一二葉期と生育ステージが進むにしたがって低温に対する抵抗力は落ちてきます(右グラフ)。越冬芽の生育は、平均気温の上昇によって進みますから茶園の立地条件によって異なり、また品種、整枝管理によっても違いが出ます。


3-4-2.越冬芽の生育ステージと気温・樹体温

茶の樹体温の目安

  • 樹体温:株面気温よりも2〜3℃低い
  • 株面温度は外気よりも3〜4℃低い
    (熱放射や風の影響)

芽の生育ステージは、平均気温、樹種や秋整枝等の管理によって変化の仕方がちがいます。摘採前の管理をする上で、茶園の萌芽・開葉の時期を予測します。これは摘採計画だけでなく、寒害の被害程度を知るうえでも大切なことです。芽の進み具合を観察記録しながら、毎日の最低気温や気象庁の予報に気を配りましょう。
また、春(3月中旬 )は気温の変化がはげしく、越冬芽休眠覚醒後の場合は凍害が心配です。摘採面の温度がマイナス4℃なると越冬芽の樹体温が限界を越え、凍害にあっている可能性があります。


3-4-3.凍霜害にあったら、まず…

凍霜害が発生したら、まず右の事項を確認します。被害は芽の生育ステージによって異なり、萌芽期の被害は収穫にそれほど影響はなく、開葉期以降の被害は深刻です。萌芽期であっても最低気温がいちじるしい低温の場合、芯芽まで凍死することもありますから、最低気温が何度だったのかを知っておきましょう。さらに、茶園全体を観察してどの程度の被害かを確認し、その後の処置を決定します。

萌芽期の被害では芽が不揃い(ムラ)になる等の現象がありますから、摘採時期の決定に留意する必要があります。 ムラになった芽は秋整枝によってコントロールし、次年度の収穫に影響を残さないようにします。(秋整枝については、8月号,9月号へ。)

基本編ロゴ 凍霜害でどのくらい減収するのか
ロゴ [8月号]秋整枝の意味
[9月号]秋整枝の実践

-部分的な被害の判断

もうひとつ重要なのは、茶園全体から見てどの程度の被害状況かをマクロ的に観察することです。冷気による被害のため茶園の高低差によって被害程度は大きく異なります。部分的な被害の場合は極力部分処理をするなど、摘採葉に混入せず、省力的に処置できる方法を全体から見て判断する必要があります。


3-4-4.凍霜害の処置と摘採

凍霜害にあってしまった場合、被害時点の芽の生育ステージによって次のように処置します。

萌芽期、一葉期の被害ではそのままにしておき、生育のムラを配慮しながら摘採時期を決定してそのまま一茶を摘採します。
二葉期以降の被害では、摘採前に整枝によって被害葉を除去し、遅れ芽として出た芽を収穫するという方法をとります(一茶半とも呼ぶ)。これは、二番茶以降の生育の乱れを整える意味をもつ作業です。

3-4-5.部分的な被害の処置と摘採

凍霜害は部分的に起こる場合が多く、摘採面にまだらに出た場合などは判断がとてもむずかしいものです。良い部分を残して被害葉を先に刈り落とす方法。または、その逆に被害葉を残して、良い葉を先に摘採する方法。この2つから摘採葉に混入しにくい処置を正しく選択します。

基本編ロゴ 凍霜害の部分被害

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