10月号 4.[幼木]挿し木や幼木の花芽の分化
-栄養生長に向かうはずがナゼ?-

花が咲いた幼木園
花が咲いた幼木園
10-4-1.幼木園で起こる花芽の分化

植え付けしたばかりの幼木園で花を多くつけた樹を見ることがあります。本来ならば栄養生長が最も盛んなはずの幼木が花芽の分化を起すのは、良いこととは言えません。また、幼木の小さな個体には、花や実による消耗は、成木園と比較して大きなダメージとなります。


幼木園開花時の対策

10-4-2.幼木園で開花した場合の対策

幼木園で花芽の分化が起こった場合も、まず原因追及することが大切です。根の損傷、過湿障害や干ばつの影響、病害虫の被害などが考えられます。 対策としては、敷き草、敷きワラ、たい肥を施して、水分の蒸散を防ぐことが対策となります。幼木の内部的な問題としては、根の発達が進んでいないのに地上部が大きい、地上部と地下部のバランスの崩れが原因とも考えられます。使われる養分に吸収する養分が追いつかないために花芽の分化現象が起こるケースです。この場合は、一時的な対策ですが、来年一番茶後に一度切るという仕立て方で抑えることができます(仕立て剪枝)。また、仕立て方が原因の場合、裾部の細い枝には栄養が行き届かないため、花が着くこともあります。


●10-4-3.挿し木苗に花芽がつくのはなぜ?

また、6月頃に挿し木した苗が7〜8月頃に花芽の分化を起こすのには、採った挿し穂に原因があると考えられます。樹勢良好な株から採ったとしても、株の裾部の弱い枝を使った挿し穂は栄養状態が悪いので、それが原因かもしれません。
挿し木苗は幼木よりも樹体量が小さいため、着花は幼木よりもさらに影響大です。挿し木苗の場合は、花芽の段階で除去するのは有効です。しかし、そうした不良苗は、一旦仮植して一年様子をみて植え付けした方がいいでしょう。

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10月号もくじ 10-1:花と生理生態 10-2:花が及ぼす影響10-3:恒久的対策を10-4:幼木園の花芽の分化

 

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