11月号 1.審査員の茶園観察から学ぼう
-茶園共進会がはじまります- |
静岡県茶園共進会−成木園の部審査基準はこちら→
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秋整枝を終えた11月から12月にかけて、静岡などの主要茶産地では茶園共進会が催されます。共進会とは各地域の茶園管理の成果を公開し、技術を確かめ合い広げる場です。地域で管理状態の良い茶園を選抜し、地上部の発育や根の張り方、土壌の状態など茶園管理の各項目について測定や審査を行い点数制で競うものです。共進会は、審査員が出品茶園を巡回して審査し、日ごろの茶園管理の徹底と技術の高さを評価する会ですから「我こそは!」という方にはぜひ参加していただきたいと思います。 ●茶園共進会の目的 茶園共進会は「良質多収生産とはどういう茶園がいいのか」というテーマに対して、生産性向上の振興策として県単位で行われ、審査後、最優秀茶園には農林水産大臣賞が贈られます。受賞茶園の視察など、優秀な茶園をつくっている茶園主から茶園管理方法を学ぶ機会を設けて公開することで、産地の茶園管理技術の向上につながっています。 |
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●11-1-1.地域の品質向上に目を向けるチャンス 良い茶園でなければ良い芽は得られません。共進会は、畦間を掘って根の張り方や土壌の状態など普段見ることができないところまで詳しく観察するチャンスです。共進会に出品しない茶園主の方でも、茶農協等の組織を通じて出品茶園を見ることができます。他所の畑を観察すれば自分の茶園を客観的に見る基準をもてますから、積極的に参加しましょう。 また、共進会の審査項目を参考にして、茶農協や生産法人単位で独自に評価する動きも出てきています。地元の仲間同士で葉の色艶を比較したり土壌の状態を確認し合うことは、地域の生産意識を高め、茶の品質ひいては所得面でよい結果につながると思います。 ※他所の茶園を見るときにはマナーに気をつけましょう。 |
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●11-1-2.審査員の目 静岡県の場合は、県普及所職員、農協経済連、茶試験場等の専門スタッフが審査を行います。私も審査員として参加してきましたが、審査項目には達観的評価を求められるものが多いため、日ごろ多くの茶園を見ている我々でも、事前に「目揃い会」という各人の共通認識をもつ機会を設けてモデル茶園で評価を確認しあいます。これは、みなさんが自分の茶園を評価する場合にも言えることです。根が多い少ない、葉の色が良い悪いなど計測できないことを評価する場合、基準を設けて客観的に判断することが大切です。 |
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●11-1-3.審査項目は相関している 茶園審査を客観的に行うために、審査項目が細分化されていますが、茶樹の生理生態のことですからそれぞれ相関関係にあります。塾のはじめにお話したように、(1)樹勢のいい茶園は地上部と地下部のバランスがいい。(2)根の発育再生は、地上部の光合成が活発に行われることで促進される。(3)枝の構成が悪いと葉の均一性が悪くなる‥などです。自分で茶園診断して最良の改善策を立てるには、まず不良の原因を追求します。たとえば、地下部の不良の原因は地上部の過大化かもしれないし、土壌の過湿で通気性が悪いのかもしれない。一通り審査してみれば、評価とともに原因追求にも役立つはずです。 |
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11月号もくじ |11-1:共進会 成木の部|11-2:栽培方法と地上部|11-3:土づくり|11-4:根の生育と葉相|11-5:生育状況|11-6:幼木園審査 幼木の部| |
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お茶街道文化会
主催:カワサキ機工株式会社
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