序章-2:計画・情報収集・記録
-経営能力と管理能力の基本-

●02-1.情報収集と分析、そして決断

情報img

「隣が刈っているからウチも刈る」という感覚で秋整枝をした方は…いけませんね。自園の環境と茶樹の生育状態から茶園主が判断して管理することが「良い園相の茶園」をつくる第一歩です。 茶樹の状態や影響するさまざまな現象の記録、指導者や仲間から得た情報を総合的に分析して「ウチの畑はこうする」という決断をするのが茶園主です。
自信をもって判断するためには、まずアンテナを高くしておくこと。経営的判断は、茶業のスタイルによって違います。自分なりに「一歩前へ」という気持ちで、積極的に情報を集めて判断していく。直接農業に関係ない情報でも、茶業に取り込んだらいいと考えられる場合もあり、情報収集能力が高いことは、時代に合った柔軟な経営姿勢で農業を続けていくことにもつながります。

●02-2.マクロの目、ミクロの目

労働力や経営を考慮し、茶園全体の育成や収穫を計画するマクロの目。根の張り具合や芽の育ち等、一本の茶樹を見るミクロの目。その両方を兼ね備えたら、優秀な茶園主です。それには、膨大な知識、鋭敏な情報収集と分析、そして決断力と計画を実行する能力が求められます。

日誌イラスト●02-3.正確な判断のために、記録は重要

いい園相の茶園といっても、自身が明確な基準を持たなければ判断できません。しかも自分の茶園では日々の成長、時間経過での変化がわかりにくい。そこで、日誌をつける、スケッチをする、写真を撮るという記録が判断基準になります。感覚的なことはイメージで結構ですから、詳細に記録しておく習慣をつけましょう。
茶樹の生育に効果があったかどうか見る場合、気象記録と、「いつ何をどれくらいの量投入したか」の作業記録は絶対に必要です。まず1年間記帳してみれば、翌年の対策や新しい試みを行う際に、その大切さがわかると思います。記録する内容は、樹齢、品種、葉や根など健康状態、施肥防除等の管理履歴、葉のサイズ、摘採時の評価などです。茶樹だけでなく、土壌の状態や毎日の気象など環境情報も記録します。

 

基本編ロゴ 記録にパソコンを使う
畦間を掘る木村先生
●02-4.畦間を掘ってみよう

「うちの茶の木は根が深い」なんて言う人、畦間を掘ったことがありますか?
まず、自園の畦間を掘ってみましょう。根の元気を見るには、根の張り具合や細くて白い根[細根/サイコン]がたくさんあるかどうかに着目します。細根は土壌の養分を吸収するはたらきをもっていますから、これが伸びていればまず安心。茶樹の根は、土壌環境が適合していれば、深さ1〜1.2mまで伸びるものです。 まずは現場で足もとから知ることが、情報収集のはじまりです。

 

基本編ロゴ 根の機能
有効土層が浅いor深いとは?
酸素不足がもっとも大敵
根の分布を見る

●02-5.根っこの状態をスケッチして記録する

畦間に直径1mほどの穴を掘ったら、観察するだけでなく中に入ってスケッチをしましょう。スケッチするときは、根の分布がわかるように描くのがポイントです。右の写真は、私がスケッチするときの穴の中の様子。20cm角のスケールを入れて分布を正確に描きます。みなさんが描く時は、巻き尺などをあてて寸法を測りながら描きましょう。
スケッチには、 後日見てもわかるように場所と茶樹、年月日、No.を記し、対象茶樹の根元には目印のテープを埋めておきます。そして翌年は隣の茶樹を掘る。すると、前年のテープの場所だけ根が張っているなんてことがあります。そうやって深耕効果を体験的に学ぶこともできるのです。

 

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