11月号 4.根の生育と葉相
-個体の状況を診断する- |
10〜11月は根の生育がもっとも盛んな時期にあたり、地上部の生育が落ち着いて地温が適温な季節です。 |
|||||||||||||
●根量 土壌断面を観察して根量の多少を評価します。これは、細根だけでなく、太根や中根も含めた量が評価されます。細根は吸収機能、太根中根は貯蔵機能をもっています。 ●みずみずしさ 活力あり新鮮で高い機能をもった細根であるかどうか、根の質を判断します。肌が白くきれいな細根が良く、生育が良好な場合は素直に伸びています。細根は土壌によっても異なり、粘土質の土壌では細根が太くて短いし、黒ぼく土壌では細くて長い傾向にあります。 ●根の分布 垂直水平に広く分布している根を高く評価します。白く細い根が多ければ、根の再生が良いと言えます。根の再生は、地温や酸素量など土壌環境だけでなく、地上部に活力ある葉が多くあるかどうかが影響します。また、細い木化根が多く見られることがありますが、木化根が多いと根の分布が悪くなります。これは、おそらく土壌環境の悪さが継続し蓄積して起こったものだと思われます。 |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
●11-4-2.葉相 ●葉層 葉層は8cm以上を満点として、8cm未満は1cmごとに1点減点となります。摘採面から8cmの葉層が盛んに光合成を行う部分であり、茶樹全体の光合成の90%を担っていますから、葉層が厚い茶園はそれだけ光合成能力が高いと言えます。 |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
●葉の大きさ 共進会の審査では、葉の大きさに基準値はありません。私は、幅2cm、長さ7cmくらいを基準にして大小を評価しています。そして、葉の大小が混在している場合は、翌年一番茶が不均一になると予想されますから評価は下がります。 三番茶を摘採しない茶園では、三番茶葉が大きくてその割に下にある二番茶の葉が小型の場合があり、これは不均一の原因として減点されます。大きい葉というのは、枝が太ければ大きくなるのですから、葉の均一性を見れば、枝の構成がわかります。逆に言えば、葉のばらつきの原因は枝の構成にあり、翌年一番茶の均一性にも影響すると言えます。
|
|||||||||||||
●着葉密度 葉層内の着葉状態が、密であるか粗であるかを審査します。着葉量が多く密になっているものを高く評価しますが、実際には葉の大きさとも関係して、大型葉で着葉密度が高いというのはむずかしい。葉が小型の場合は密になりやすく、大型の場合は粗になりやすいのです。しかし極端なことを言えば、あまり着葉密度が高いと光が入らないことが光合成に影響するという問題も考えられ、理想的な着葉密度がどのくらいなのかは現段階でわかっていません。私は、あまり粗な場合は減点する程度に考えています。 |
|||||||||||||
11月号もくじ |11-1:共進会 成木園の部|11-2:栽培方法と地上部|11-3:土づくり|11-4:根の生育と葉相|11-5:生育状況|11-6:幼木園審査幼木園の部| |
お気軽にご意見ご感想をお寄せください。
お茶街道文化会
主催:カワサキ機工株式会社
ochakaido@ochakaido.com