11月号 3.土壌管理と土づくり
-地下部の状態と土づくりの審査-


土壌の調査●11-3-1.栽培管理(地下部)

耕うん

畦間を1m程掘り、土壌が耕うんされているかどうかを土壌断面を見て審査します。耕して有機物を投入してある茶園が高く評価されます。よく管理されている茶園で30cmくらい、悪い茶園では10cm程度から土が固くなっています。みなさんの茶園も確認してみましょう。
表面から20cm位を表土と言います。表土の管理は比較的簡単ですが、下層土の土壌管理はたいへんです。有機物を投入する、耕うん回数を増やすなど効果を持続させる土壌管理を行います。また、毎年やる必要はありませんが、乗用型のスキを使うなど深耕も機械化して下層土の改良に力をいれてほしいと思います。 乗用型茶園管理機のように重量のある機械で茶園を踏圧すると、畦間土壌の固結化、緻密化が起こって膨軟性を失い、透水性・通気性を悪くして根の活性機能を低下させる原因となります。今後、乗用型茶園管理機の普及に伴い、耕うんは栽培管理においてさらに重要性を増してきます。

基本編ロゴ

株元の土壌を柔らかく保つ
畦間耕起と細根の生育
乗用型茶園管理機と踏圧の問題
ロゴ [6月号-1]根量分布を広げて吸収率をアップ
[7月号-3]深耕

 

除草

茶園はそれほど雑草が生える環境にありませんし、共進会での配点も低い項目です。雑草にも禾本科(イネ科)のように養分吸収されてしまうものと、豆科のようにそれほど害のないものがあります。

茶園の敷草photo
敷草


敷草

これは敷草を敷いているかどうか、量が適切かを見ます。炭素率の低い資材は分解が早く長持ちしません。土壌水分の蒸散を抑制するには、800〜1,000kg/10aの量が必要です。共進会の審査では800kg/10a位を中とし、土壌が透けて見えるくらいを少ないと評価しています。 最近では、稲刈りがコンバインになったために稲ワラの入手が困難になってきましたが、干ばつ対策や傾斜地でのエロージョン対策に敷草敷ワラは効果的です。

敷草の量

800〜1,000kg/10a

基本編ロゴ 土砂崩れ災害(エロージョン)

●11-3-2.土づくり

●膨軟性

審査員が土壌をとり、手触りなどから膨軟性を達観的に評価します。客観的には物理性の項目で計測した数値で評価されます。

●有機資材の混入量と混入の深さ

土壌断面を観察して有機物混入の量と深さを評価するもので、土づくりで大切なことです。有機物混入時に、相当量をよく耕して投入しなければ、深く混入させることはできません。すき込みながら混入する機械を使えば、30cm程度まで混入できます。

ロゴ [2月号-1]土づくりとは(三相分布)


●11-3-3.土壌の物理性

硬度計photo
硬度計

●ち密度

土壌の固さを深さごとに硬度計を刺して計測し、その数値で評価します。

深さ 軟らかい 普通 硬い
0〜20cm
15mm以下 16〜19mm 20mm以上
20〜40cm
40〜60cm

 


●11-3-4.土壌の化学性

あらかじめ農協で採土して分析した結果を評価します。全部で8項目ありますが、重視されるのはpH、腐植、陽イオン交換容量、交換性石灰、交換性苦土です。

ロゴ [7月号]土壌診断
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11月号もくじ 11-1:共進会 成木園の部11-2:栽培方法と地上部11-3:土づくり11-4:根の生育と葉相11-5:生育状況11-6:幼木園審査幼木園の部

 

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お茶街道文化会
主催:カワサキ機工株式会社

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