7月号 3.深耕
-秋の樹勢回復にそなえて-


深耕7-3-1.深耕の目的は物理性の改善

深耕は、土壌の構造(物理性)を改善して、根の生育に適した環境にするために行います。 土壌の物理性の改善とは、まず透水性・通気性をよくし、膨軟性をよくすることです。
しかし、深耕はあくまで一時的な土壌の膨軟化です。それを長期的に保つために有機物をすき込むことが効果的です。刈り落とし材などの地表にある有機物は堆肥化してもそのままでは土壌中に入りません。深耕と合わせて有機物の供給や改良材の投入を行うことで根に有効に利用され、土壌改善効果を得ることができます。
そして、深耕の目的は有効土層を深くすることです。余分な水を排除して通気性をよくし、活力のある根が深く入っていけば、肥料の効果が高まり、干ばつにも強い茶園になります。

基本編ロゴ 根系分布
土壌の通気性は自然に保たれるか?
畦間の耕起と細根の生育
ロゴ 土づくりとは
2001年の一番茶木村評
「対策は根の吸収率アップ」

深耕の時期7-3-2.深耕の時期

深耕は、根が活性化する前で、三番茶の生育停止時期の8月中旬〜9月上旬に行います。茶樹の養分吸収が活発になる秋期(10〜11月)には根が回復していなければなりませんから、秋が早い北部や山間地では早めに深耕します。深耕の時期が遅れてかつ断根が多い場合は、根が回復しないうちに秋を迎えて翌年の一番茶への影響は避けられません。そのために時期を早めると三番茶の生育適期と重なりますが、樹勢を回復させて翌年の一番茶の品質向上を目指すには深耕を優先させる必要があります。


乗用型アタッチメントMCP
7-3-3.深耕の深さ

深耕の際、深さ30cm程度耕すのが理想ですが、クランク式の耕耘機やてこ鍬を使用しての作業では、深さ20cmくらいが限界のようです。また、手作業での深耕は重労働です。最近では乗用型茶園管理機で深耕ができますから、導入可能な茶園では有効に利用するのがよいでしょう。

基本編ロゴ 根の機能
有効土層が浅いor深いとは?


『深耕時の断根の強弱と時期がその後の細根量に及ぼす影響』
(鹿児島県農林水産省枕崎支場)

7-3-4.根が切れる問題

深耕によって根が切れることが心配されますが、茶樹の生態上、少量の断根であれば根量は増えます。断根は、生理生態上良いことではありませんが、土壌の物理性の改善の方を優先させるべきです。断根量が著しく多いと予想される茶園では、早めに(7月ごろ)行って細根の再生をはかります。
断根の程度については根量の計測が困難なためはっきりしたことは言えませんが、深耕した土の中に根が散見されるくらいであれば問題ありません。感覚的にはバリバリバリッっと激しい音がするくらいの断根は問題で、浅く広く根がはっている茶園では断根によって樹勢に悪影響を及ぼしやすいのです。しかし、このような根の浅い茶園では、根を切断してでも深くはる環境をつくるために深耕するべきですから、再生する期間を見込んで早めに行いましょう。また、今年更新した茶園では、断根すると影響が大きいので断根しないように注意して深耕してください。

基本編ロゴ 深耕の時に断根が及ぼす影響


7-3-5.天候と深耕の機会

気象条件が順調に経過している年、とくに雨量がある年は深耕のチャンスです。深耕をするにあたって恐いのは干ばつです。しかし、干ばつに強い茶園にするためには有効土層を深くすることが最適な対策なのですから、深耕後の茶樹が回復する時期にダメージを受けないように、気象予報に気を配って深耕の時期を決定します。 やむをえず遅くなってしまった場合は、回復期間が短くなるので断根しないよう注意し、場合によっては土壌表面の緻密化した部分だけを浅耕します。


深耕の効果7-3-6.深耕の効果とは

深耕とは、今年やったから来年効果があるというものではなく、累積して効果が得られるものです。深耕による樹勢の回復が地上部へと明らかに早く出てくるわけではありません。しかし、有効土層が深くなることによる茶樹の生理生態への効果は大きく3年、5年と繰り返すことで、活力ある根が深く入って茶樹の再生能力も高まり、園相の良い茶園ができてくる長期的改善策なのです。

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7月号もくじ 7-1:三番茶 7-2:摘採7-3:深耕7-4:干ばつ7-5:土壌診断7-6:土壌改良7-7:秋肥・防除

 

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