二番茶の摘採適期は3.5〜4開葉期で、後半の摘採が100%出開きになります。後半の摘採では、あまり深摘みしないように。 摘採位置は、右図のように一節残す高さです。この残した節の側芽として三番茶の芽が出ますから、残す高さは大切です。また、三番茶を摘採しない場合は、ここから出る芽が来年までの生育に重要な役割を果たす「はたらく葉」となるのです。
品種が早・中・晩と計画的に植栽されていれば、全ての茶園の摘採を適期に行うことができます。生産能率の上でも、茶樹の生育や茶園管理の面からも、適期の摘採が望ましい。しかし、やぶきたに集中している現在は、二番茶の摘採適期が短い上に集中するため、摘採の調整をしなければなりません。また、工場の稼働においても、早摘みはやむをえない状況にあります。硬化して品質を落とすよりも、収量は少なくても良質な芽を収穫できるように、短い摘採適期の中で能率的な計画を立てる必要があります。一番茶の芽の摘採を記録しておき、二番茶の芽の出方を見て決めましょう。
※早摘みとは、だいたい三葉期ごろの摘採です。しかし、早摘みや浅摘みは、遅れ芽が多く出るという問題がありますから、それを考慮して行う必要があります。
●[5-5-1]早摘み・浅摘みの弊害を解消
たとえば平成10年は、一番茶の集中、低質、豊作型による安値を反映して、二番茶を早摘みして高品質なものを供給するよう励行された年でした。 二番茶の相場は、一番茶の下級茶の在庫量が影響します。一番茶の下級茶の在庫が多ければ、二番茶の下級茶を作っても需要がなくて売れなくなってしまいます。また、一番茶後半の相場が品質本位に進めば、下級在庫が減って二番茶の需要が増加するケースもあります。二番茶の摘採では、一番茶の下級茶の在庫や相場の情報に気を配る必要があります。
もうひとつ大切なことは、摘採によって茶樹に負担をかけないこと。摘採とは、茶樹から生葉を取りあげるのですから、茶樹にとっては、生育のための養分を取られてしまったことになります。摘採葉に含まれている窒素は0.8〜1%ですが、収穫の深さが深ければ、それだけ茶樹の負担も大きくなります。三番茶の芽の生育や、茶樹の生育を良好に保つために、二番茶の摘採は浅めに行った方がよいのです。 若い茶園や栄養状態の良い茶園は、こうした負担を受けても回復する能力が高いのですが、 老朽化した茶園や樹勢の悪い茶園では、回復力が低いため茶樹の栄養状態が悪化して、7〜8月頃に花芽の分化が起こるなどの症状が出ます。
5月号もくじ |5-1:今年 |5-2:二番茶-1|5-3:二番茶-2|5-4:更新|5-5:整枝|5-6:病害虫|5-7:干害|
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