5月号 6.二番茶後の防除
-病害虫管理の考え方で。発生を確認防除-


5-6-1.二番茶後の病気に注意

二番茶は梅雨時期に入って、炭疽病、モチ病などの病原菌が感染しやすい季節です。前年に病害を認めた茶園は、二番茶摘採後、三番茶の開葉期(一葉期まで)に殺菌剤を散布してください。 輪斑病や新梢枯死症は、二番茶後に感染の危険性が高い。この病気は潜伏期間が長く、秋になってから症状が出るので、前例がある茶園では殺菌剤の混用が可能な薬剤を選択しましょう。
また、効果的な防除を行うために各農協で防除計画を立てています。病害虫は、地域によって発生状況が異なり、薬剤の連用を避ける必要があるので、行政や農協等から発信される地域の情報を参考にしてください。

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農協の防除指導の事例(JA遠州夢咲)
病害虫の生態と消長を把握する
輪斑病と新梢枯死症
髪の毛病について


コカクモンハマキの幼虫

5-6-2.二番茶後の害虫発生

4月号でお話しした害虫に加えて、コカクモンハマキ、チャハマキなどの発生が地域によって多く見られ、被害も大きい。防除回数を削減するためにも、フェロモントラップ等で茶園での発生予察から、発生ピーク、産卵期、孵化期を予測して、適期に防除をします。

また、7月中〜下旬にかけて、クワシロカイガラムシの2回目の発生時期を迎えます。確認された場合は速やかに防除を行います。

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葉裏に届く防除が大切(試験研究結果です)
フェロモントラップ
茶園キーパーの発生予察
たたき落とし法

コカクモンハマキ
チャハマキ
クワシロカイガラムシ

発生ピークを予測5-6-3.防除の時期

二番茶後の防除は梅雨時期ですから、雨天によって機会を逸することのないように。
害虫の防除は、 フェロモントラップで捕らえられる虫の数のピークから数えておよそ10日くらい、孵化期が防除の適期です。また、経験的にカウント数からピークが予測が出来れば、ピーク直前くらいを察知して孵化期の初期から防除を始めるのが理想です。
また、輪斑病は、二番茶摘採直後に、新梢枯死症は三番茶の萌芽期に防除しないと効果が薄れます。 やむをえず時期がずれてしまった場合には、時期がずれても効果がある薬剤を選択して使うなど、その時々に応じて最良の方法を選択しましょう。

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輪斑病と新梢枯死症
近隣の茶園に注意!


5-6-4.防除の仕方

薬剤の散布には無駄な量を使わずに効果が得られる適量を散布します。通常は、400リットル/10aですが、カンザワハダニやクロイワカイガラムシなど散布量の多いものもあります。表示されている分量と散布時期(摘採時期までの期間)を守って防除します。そして、葉裏に発生する害虫など、各虫の発生消長を理解した上で、効果のある散布方法を行うことも大切です。
三番茶以降も摘採する場合は、摘採芽に影響しないよう速効性の薬剤を選択します。

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農協の防除指導の事例(JA遠州夢咲)
カンザワハダニ


5-6-5.病害虫との共存

ここで、病害虫についての考え方をお話ししておきましょう。病害虫は、発生の仕方によっては多大な被害を及ぼしますが、自然な環境の中で植物である茶樹を栽培していくには、ゼロにするのは不可能に近い。病害虫防除では、発生をゼロにするのではなく、「最小限に抑える」という気持ちでのぞむことです。
 最近、九州などでは、天敵を保護する、または害虫に病気を起こさせるウィルスを発生させるなど、生物学的な対処方法が盛んに行われるようになりました。そうしたウィルスや天敵が生存していくためには、100%病害虫を無くす環境にはできません。生かしておく必要もあるのです。これを「病害虫管理」とよぶ先生もいます。このような考えから、単位面積あたりの発生密度から推測して、防除の必要性を判断するのです。

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天敵ケナガカブリダニ


防除衣を着用
5-6-6.健康管理に注意して防除を

二番茶後の防除は、高温多湿の気象条件の中、一番茶以降のハードな労務が続いた後で、管理者の疲労がたまりやすい時期です。そんな体調が万全でない時に薬剤を散布するのですから、マスクや防除衣をきちんと着用して健康を損なわないように注意しましょう。

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5月号もくじ 5-1:今年 5-2:二番茶5-3:二番茶-25-4:更新5-5:整枝5-6:病害虫5-7:干害

 

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