8月号 5.最終芽と遅れ芽
-最終芽を日陰で育てちゃいけない-


遅れ芽の日陰8-5-1.伸びた遅れ芽の悪影響

8-4-2のように、最終芽の生育が樹勢を判断する要素となります。この最終芽の生育を妨げる要因として遅れ芽があります。
遅れ芽の処理を怠っていた茶園では、最終芽の時期に遅れ芽が伸びてとても長くなっています。「樹勢がいい」と思われがちですが、最終芽の生育が抑制され翌年一番茶生産の不均一をまねく原因となります。また樹勢の面からも、遅れ芽を放置しておいていきなり伸びた芽を刈り落とすのでは、葉量が激減するため茶樹の生理機能が急落し茶樹にとって大きなダメージとなります。
さらに、遅れ芽の下にある最終芽は日陰で生育が抑制され、さらに養分をとられてしまいます。そのまま秋整枝を行うと、整枝でいきなり露出した最終芽は日陰で育ったために未発達で、越冬芽の幼葉形成に必要な養分生成が充分にできません。ですから、遅れ芽をなるべ出さないように摘採後の整枝をしておくことが大切なのです。 また、遅れ芽の出方が著しく多い場合には、あえて遅れ芽を利用して秋整枝をする方法をとることも状況によって選択肢に入れます。

ロゴ [5-5]二番茶後の整枝

秋整枝の切り口8-5-2.遅れ芽をそのままにしたらどうなるか

秋整枝後に茶園を上から見たら、秋整枝の効果と翌年の一番茶の予測がよりわかりやすくなります。整枝したあとの切り口が均一であれば、最終芽の生育でよく揃います。右上図のような切り口ならば、翌年の一番茶に均一な良い越冬芽を形成することができます。しかし、右下図のように太い切り口が混在していたら、その枝は遅れ芽です。遅れ芽の茎はすでに生長して太くなっていて、ここから出た芽は栄養状態が良いからとてもよく伸びます。しかし、翌年の一番茶生育が不均一になる原因となって製品に影響を及ぼします。

←前ページへ ロゴ 9月号へ→
 

8月号もくじ 8-1:台風 8-2:秋肥2・防除8-3:秋整枝の意味8-4:秋整枝の基礎8-5:遅れ芽の影響

 

お気軽にご意見ご感想をお寄せください。

お茶街道文化会
主催:カワサキ機工株式会社

ochakaido@ochakaido.com