第7回粗揉-2 『茶温としとりを守って粗揉』 |
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7-1-1.恒率乾燥とは
粗揉工程の流れを前回(6-2)教えていただきました。含水率100%まで乾燥させるのに、全体的にたいせつなことはどんなことですか?
粗揉工程の品質を左右する要因
粗揉工程は、茶葉の水分を100%まで乾燥させるので、荒茶の完成度に大きく影響する工程です。工程中の水分量の変化が大きいため、茶葉の乾燥度合いに応じて調整を行わなければ、品質を著しく落としてしまう原因となります。くり返しますが「茶温としとり」を守り、恒率乾燥させるのが大切。 それに関係してくるのが、右の図の5つのはたらきと3つの情報です。
まず、恒率乾燥について、おしえてください。恒率乾燥の定義は「一定の面積から蒸発する水分量が同じであること」です。この場合与えた熱のすべてが茶葉を乾燥させることに使われます。恒率乾燥に対して減率乾燥とは、茶葉が上乾きして茶温が上昇し、与えた熱が茶温の上昇に使われると同時に逃げてしまう状態を言います。恒率乾燥させるためには茶温としとりを守ること。「茶温としとり(第2回)で話したように、茶葉の中から水分を揉み出す速度と表面乾燥の速度をイコールにして乾燥させることで茶温としとりが守られ、これを最適乾燥速度といいます。
[Point-1]恒率乾燥とは [恒率乾燥]しとり
流入する熱量のすべてが水分の乾燥に用いられて、茶温は湿球温度を示す。茶葉の水分は中心から揉み出されて表面を濡らし(しとり)そこで蒸散する。この最適乾燥速度を保つために工程設計し、時間軸と水分量(含水率)をカーブで表わしたものが乾燥曲線です。
乾燥曲線の例 | ||||||||||||
製茶機械のライン構成(90k型)
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乾燥曲線 |
1.乾球温度=20.0度 2.湿球温度=15.0度 3.茶温設定=34.0度 4.熱風温度=95.9度 5.絶対湿度=0.00853 6.蒸度(秒)=30秒 7.茶葉投入量=84kg 8.投入含水率=400.DB% 9.取出含水率=95.DB% 10.粗揉時間=48分 11.揉捻時間=30分 12.中揉時間=46分 13.精揉時間=52分 |
勉強していくと乾燥曲線の意味がよくわかるようになるのですね。これから恒率乾燥するために大切なことを順番におしえていただきましょう。ところで、「お茶がムレるから風を多くする」と聞くことがありますけど…。
それは、手揉みの場合や旧式の機械の時代は正しかったのです。今の機械で風を多くすると上乾きして茶温が上昇してムレてしまいます。
機械製茶は時代とともに発達してきました。風量と熱風温度の調整ができるようになり、また熱や風を化学的に解析したデータを利用することで機械製茶技術は大きく進歩しました。現代の製茶においては、恒率乾燥というとても狭い合格ラインを風量、バネ圧、熱風温度等々のバランスで選びだすことが大切であり、またそれを根拠のある数値をもとに算出できるようになってきました。
人間が病気になったとき体温があがったら氷で冷やすのではなく原因をさぐって治療するように、製茶でも茶温上昇の原因を探して正しく対処するというのが重要です。茶温としとりをまもって恒率乾燥させるためには上記のバランスが大切だということをしっかり覚えてくださいね。*ムレとは茶温が38℃以上に上昇することをいう。
「いいお茶をつくるために恒率乾燥させること」でした。 次は熱風温度とお天気の関係です。 |
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