第8回粗揉-3 『粗揉の速度と強さ』 |
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8-1-1.時間は大きく影響する
風量調整のところでもお話したように、茶温としとりを守って乾燥させる恒率乾燥は、粗揉工程の基本です。その適度な乾燥速度を最適乾燥速度といいます。
粗揉工程の時間設定は、いいお茶に製茶するための大切な要素なんですね?
工程分割における乾燥速度
粗揉時間は仕上がりに大きく影響します。茶葉の水分が多いうちは水分をたくさん取ってもいいが、乾燥してきてから多く取ると上乾きしてしまうし、少なすぎるとグシャついてしまう。いちばんいい具合に乾燥させることを最適乾燥速度といいます。しとりがあって茶温が一定な状態のこと。 右の図は45分かけて粗揉する乾燥速度をグラフにしたものです。あまり時間を短くしてしまうと茶葉が上乾きしてしまい、減率乾燥となってしまいます。このカーブをちょうどいい乾燥速度にするのが大切なのです。
「7-4風量の調整」で配分した時間がこの図に表わされているのですね。ところで、風量をあげて粗揉時間を短くすることは可能なのですか?8-1-2.バネ圧との関係とトラブル
技術的には可能です。実際にバネ圧を強くして乾燥速度を速めている茶農家が増えています。でも、恒率乾燥速度を守るためには、たとえば右の45分を恒率乾燥しながら30分で乾燥させようとしたら、揉み出す力を強くしなければならない。生葉の品質や機械の構造も関係してきます。時間については、ゆっくり揉むのがいいわけではなくて、品質や天候など7-1であげた条件に応じた恒率乾燥、つまり上乾きしないように短時間にできることが望ましい。だから揉み手の力で揉み出される水分を考慮すると自ずと時間が決まってきます。
時間がちがっていると、どうなるのですか?
分配時間が違っていてもトラブルが起きます。正確に時間配分すること。とくに第1工程で少しでも長くなると第2第3工程まで影響し上乾きを起こしてしまいます。熱風量が茶葉表面の水分を蒸発させるパワーが適度でないと、茶温が上昇またはグシャついてしまい、いいお茶はできません。熱風量が多すぎると茶葉の表面だけ乾燥する「上乾き」の状態となり減率乾燥となってしまいます。逆に熱風量が少なくて蒸発させる水分量が少ないと表面に茶葉の汁液が残ってグシャついてしまいます。どちらも茶葉の色が黒くなり、品質が悪くなります。 基準風量は平均の毎分風量ですから、風量の強弱と同じトラブルが起こるのです。
上乾きして茶温があがるトラブルは、どうやってわかるの?
現場で茶葉を見ていると、茶葉が握りこぶし大の団子状になることがあります。これは恒率乾燥していないサインで、団子になる原因は茶葉がムラ乾きしているから乾いた茶葉が湿った茶葉にくっついて起こる現象です。
そういうときにはどうしたらいいのですか?
トラブルの原因としては風量、バネ圧、回転数、投入量…いろいろありますが、可能性が高いのは風量が多すぎたり少なすぎたりしていること。風量計算と配分をもう一度やりなおし、その他の設定もチェックし直しましょう。
次に風量と深い関係のバネ圧の調整についておしえていただきます。 |
シバタ塾TOP |8-1.最適乾燥速度とは |8-2.揉み手バネ圧の調整 |8-3.葉ざらい手と底竹のすき間 |8-4.粗揉機の出し度 | |
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