12月号 3.個々の茶園の反省をしよう
-組織の結果はひとつひとつの茶園から-
茶園No. 摘採収量/10a
生葉評価
収入/10a 開葉数
a1-1
600kg
A
65
4枚
a1-2
800kg
B
55
5枚
b2-3
450kg
A
60
4枚
b2-4
1,000kg
C
45
6枚
摘採記録の例
●12-3-1.摘採の反省から茶園管理を見直す

茶園ごとに、栽培管理の記録を見直して1年間の反省をします。収量が予測より少なかった、芽重が足りなかったなど、それぞれに反省点があると思います。 摘採の反省では「どの茶園から何キロ採れて、いくらになったのか」。そこから、摘採の結果が悪かった点については、原因追求していきます。芽数(整枝)、肥料の吸収率、病害虫の被害など原因を追求して来年の対策を立てます。この判断は、来年の経営を左右する重要なことです。確信がもてない場合は指導機関に問い合わせるなど、安全な情報収集をして判断するよう心がけてください。


挑戦の結果●12-3-2.茶園改善の体験が自信につながる

個々の経営において「摘採が遅れたからしょうがない」といった、場当たり的な茶園管理をしていたら経営の向上は望めません。茶園ごとに日々の管理や茶園の状況を記録しておき、正確な情報から対策を立てる習慣をつけましょう。 適切な対策を立てるには、記憶に頼らず記録に基づいた正確な情報から検証することが大切です。改善目標を掲げて将来の姿を描き、立てた対策を実行してそれが成功すれば、その体験はすばらしい財産となります。よりよい茶園づくりは、結果を検証して原因をさぐり、さらに修正して新たな試みを実行するという執念深い行動が実を結ぶものなのです。

ロゴ プロ意識をもって茶園を見よう


反省●12-3-3.たとえばこんな反省が…

11月号でご紹介した茶園共振会の項目を参考に現状の茶園を点検すれば、茶園の総合的な評価ができます。それから、各茶園ごとの収穫状況の記録と茶園の状況とを照らし合わせて、予測した収穫との差がある場合はその原因を追求します。たとえば一番茶が減収していた茶園については、去年の秋の園相がよかったかどうかを振り返ります。病害虫の被害が原因ならば防除の反省をし、ピークの予察と防除の精度をあげる方法について検討します。


●12-3-3b.今年の秋の園相から

今年の秋の園相を見ての私感でお話しします。茶園は9月に雨が降ってだいぶ回復したような顔をしていますが、雨が少なく高温の夏を過ごして夏芽の生育が良くなかったことから 樹体内に蓄えられているべき養分生成が十分ではないように思われます。樹体が干ばつで消耗すると、その回復のために養分が使われてしまい影響を受けると私は考えています。 園相を見るときには、表面上の顔だけでなく外的要因や行った管理を一通り見直しながら判断する必要があります。


木村先生

●12-3-4.全体的な傾向からアドバイス

ここ数年、生産量が低下したという声を聞きます。生産量低下の原因は、茶園ごとに違うはずです。施肥削減は、環境面だけでなく濃度障害を避ける面でも必要なことですから、肥料の吸収率が悪いと考えるべきで、吸収率を高めるために地下部の改善をはかることが肝要です。 原因追求においては、昨年との対比だけでなく、数年にわたる累積結果を見る必要があります。対策を立てるにあたって勘に頼るのではなく、仮定の中にもできる限り正確な情報を盛り込むことが大切です。技術向上のために、また世の中の情勢を知るうえでも、積極的に勉強会や交流会に参加して情報収集をしましょう。そうして収集した情報から良いと思われることは試験的に導入し、その結果を正確に検証することから、より高い茶園管理技術を体験的に身に付けることができます。


●12-3-5.具体的に行動を起こして

今年1年間を反省して対策を立てたら、必要な仕事や資材など具体化して計画を立てて実行に移します。費やす労力と時間、資材調達の資金などを詳細に検討して、実行可能なプランを立てましょう。茶園管理の技術を高め、園相の良い茶園づくりは、具体的な実行に移せるかどうかにかかっています。

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12月号もくじ 12-1:寒風害対策12-2:寒害対策と有機物投入12-3:一年の反省12-4:組織の反省12-5:目指す方向性

 

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お茶街道文化会
主催:カワサキ機工株式会社

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