特集4.枠摘み調査
2:枠摘み調査の実践
枠摘みしたあと

■2-1.枠摘み調査の時期

摘採時の状態を記録する目的で調査する場合は、摘採日の前日または当日に調査します。摘採計画に利用する場合は、感覚的に摘採日の数日前と思われる頃に行うとよいでしょう。

記録の時間が無い場合は採取して重量の計測だけ行い、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保管しておき、時間があるときに芽長や芽数を計測してもかまいません。

準備するもの

  1. 20cm×20cmの枠
  2. 調査表(1ヶ所に1シート)
  3. ビニール袋(1枠に2枚)
  4. 計量器
  5. その他(ハサミ、油性ペン、定規)


■2-2.芽の採取のしかた

場所の選定

調査する茶園の中でも芽伸びや着葉量が平均的と思われる場所を選びます。道路の近くや防霜ファンの直下、林に隣接した畦などは茶園全体の平均的なデータを取る上で適当でありませんから避けてください。
サンプル数は1畦あたり5ヶ所くらいが適当で、全体でバランスよく右図のように選びます。1ヶ所につき頂部と両側面の3ポイントからサンプルを採ります。

枠摘み採取の仕方

枠内の芽を摘採の時と同じ高さで水平にハサミで摘み取ります(秋整枝の位置から1.5cmの高さで)。この時、切れ葉を故意に除いたりしないで採取します。枠摘みした芽は場所別にビニール袋に入れ、調査日、場所、品種等の情報を書いておきます。

[全芽長と全芽重]
全芽長と全芽重を調査するために、枠に触れている任意の芽20本を下1枚目の包葉付け根から採取して別に保管しておきます。(枠内とは別に)

残った無効芽を数える

枠摘みを終えた摘採面を観察すると、それまで隠れていた小さな無効芽が見られます。摘採刃にかからない無効芽が多いことは生産効率が悪いことを示しており、芽に勢いが無いのに芽数も少ない場合は、伸びきれない無効芽が原因となっていることが多々あります。無効芽の数は秋整枝や更新の判断材料のひとつとなりますから、チェックしておきましょう。


精度を高めるためにはサンプル採取ポイントを5ヶ所ほど調査するのが望ましいのですが、大方の実態を知るためには1ヶ所でもいいから“やってみる”ことが大切です。
枠摘み調査は、茶園の生育実態と摘採結果の把握をする上で重要な、自分たちで追求すべき情報なのです。

基本編ロゴ 有効芽数


■2-3.計測と記録

芽重

1ヶ所(1つの枠)ごとに採取した芽全体の重さを計測してシートに記録します。計測した数値を芽数で割って、平均芽重を計算します。

芽長と芽数

1本づつの芽を「出開きの有無、芽長、葉数」を調べて記録していきます。
芽長は摘み取った茎尻から芯の付け根までを計ります(右写真下)。

●芽を分類する
さらに右写真のように芽長別に分類して並べて見ると、芽の傾向を視覚的につかむことができます。5cm以下を小型芽、5〜10cmを中型、10cm以上を大型芽として分類します。

全芽長を並べたもの

●全芽重と全芽長

枠近の任意の芽(20本)を包葉付け根から採取して、上記とは別に全芽重、全芽長、葉数を計測します。
普通、芽は摘採面から深さ2cm程度の間から出ますが、その出る位置によってどうしても芽にバラつきが出ます。 全芽重・全芽長は、生育の良否や均一性を判断するのに役立つデータです。

ロゴ [4-1-3]茶園を観察しよう(芽のサイズ)
基本編ロゴ 出開き度とは

坪刈りした芽を計量

■2-4.坪刈りもやろう

枠摘み調査する茶園で同時に坪刈りを行えば、枠摘みよりも正確な収量予測データを摘採計画に利用できます。
坪刈りでは畦1mあたりの収量を計測します。畦の中央あたりを2m摘採して全体の重量を計り、1mあたりの収量に換算します。この時、後で摘採面積を算出しますから摘採面の弧の長さも計測しておきます。

簡単な収量予測計算の仕方

1mあたり収量収量(kg/m)×10aあたりの畦長さ=予測収量(kg)

※畦幅1.8mとして10aあたりの畦長さ:約555.6m


[例:たとえば坪刈り収量が3kg/3mだった場合]

1kg/m×555.6m=555.6kg/10a

基本編ロゴ 推定収量の計算方法(枠摘みから)
←前ページへロゴ次ページへ→
 

特集4もくじ 4-1:管理の原点4-2:枠摘み調査の実践4-3:結果を分析

 

お気軽にご意見ご感想をお寄せください。

お茶街道文化会
主催:カワサキ機工株式会社

ochakaido@ochakaido.com