4月号 1.一番茶の生育経過
-芽の進行と品質を見る-


萌芽
4-1-1.萌芽を確認しよう

3月を迎えると南部産地では萌芽期に入ったところもあります。静岡あたりでは3月末から4月上旬が萌芽期です。

越冬芽は、平均気温が13℃くらいで萌芽します(早生品種は10℃くらい、晩生種では20℃以上)。 気温の上昇で越冬芽の包葉が展開して中の芽が半分以上見えた状態を「萌芽」と言います。そして、茶園全体の70%が萌芽した状態を「萌芽期」と呼び、萌芽を確認してから、九州で3〜4日、静岡では5〜6日くらいで萌芽期に入ります。
茶園をまわって萌芽をチェックし、その後の進行も細かく記録しながら計画的な摘採作業を行いましょう。

基本編ロゴ 越冬芽はこんな形

一番茶の開葉日数

4-1-2.開葉

開葉とは芽の一枚目の葉が開くことを言い、萌芽から12〜15日を経て「開葉期」に入ります。1枚目が開くときよりも4〜5枚目が開く時の方が平均気温が上昇していますから、開葉日数が短くなります。1枚目から5枚目が開くまでだいたい20日、平均すると5日で、これを「平均開葉期間=5日」と言います。平均開葉期間は、南部ではやや短い期間で進みますし、その年の気温の経過で変動します。

茶園キーパー画面
 

※茶園キーパーは、積算気温と芽の開葉の相関関係から「開葉シミュレーション」を求めることができます。


4-1-3.茶園を観察しよう

一番茶摘採前に茶園全体を見て、芽の数が多いか少ないか、芽の状態はどうか詳しく観察しましょう。芽の数が多い場合は、芽が小型化し、いわゆる「芽数型」になります。 新芽を見比べて「いい芽、悪い芽」と感覚的に言いますが、肉厚な良い芽は実際に重さがあります。 良い芽は0.6gあり、0.5g以上あれば「良い芽」と言えます。普通で0.4〜0.45gです。それ以下の芽は「小型芽」です。痩せている芽は、茎が細くて短く、葉が軽い。 芽の中で葉の占める重さの割合が6〜7割であれば良い状態。0.5gであれば、0.35gが葉、0.15gが茎の重さということです。


4-1-4.下の方の小型芽に注目する

茶園を観察するとき、摘採する芽の状態ばかり見てしまいますが、全体の状態を見ることが大切です。株面の下の方に小さな芽が多くあるかどうかを確認しましょう。下の方に小型芽が多くあったら、なぜその小型芽が多くなったかをよく考えてください。たぶん、その茶園は分枝数が多くなっていると思います。その場合、更新が必要と判断できます。


未開葉芽と出開き芽●4-1-5.開葉数と出開き

茶の芽は、5枚開くとそれ以上開葉しません(たまに6枚もあるが)。すべての葉が開き終わって芽が止まることを「出開き」と言います。これ以降は、全窒素やアミノ酸含有量が減少し、繊維の量が増えて硬くなっていきます。 そのため、摘採の時期と位置が生葉の品質に大きく影響します。
出開き後、芽は二番茶のしたくに入ります。

基本編ロゴ 摘採位置と全窒素量と収量のグラフ

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