4月号 5.一番茶後の更新
-二番茶の品質確保のために-


4-5-1.一番茶の出方で更新を判断する

摘採収穫は、茶農家にとって大きな結果です。そして、茶園が自分が描いた通りの状態になっているかどうかを確認する機会でもあります。改善の必要性を感じた茶園は、一番茶後の更新計画に入れましょう。

基本編ロゴ 更新計画を立てる


摘採と分枝●4-5-2.摘採すると枝数が増える

摘採によって、芽の数が1.5倍くらい増えます。図のように、一番茶の芽を摘採すると、茶樹の生理作用で側芽として二番茶が出ます。二番茶を刈ると、同様に三番茶が出る。右図のように、四番茶五番茶まで収穫を繰り返したら、枝が細くなる度合いが激しくなります。

こうして細い枝の数が増えると、良い芽がとれなくなります。良質多収という考え方もありますが、現在は施肥制限の時代なので、芽数のコントロールをして芽の質を重視することが大切です。


●4-5-3.更新の判断

更新は、枝の構成を改善することを目的に行う作業で、枝の改善によって収量の構成を適切にします。 一番茶の芽の出方や品質を確認して、芽伸びがよくない、品質がよくないと感じたら、まず枝を確認しましょう。枝が多くの本数に分かれて細くなっていたら、それが原因ですから更新が必要と判断します。


剪枝位置の判断●4-5-4.剪枝する位置は枝を見て決める!

芽数が増えた原因を取り除き、枝の構成を変えることが目的なのですから「浅刈り」「深刈り」という言葉に頼らず、「どの部分で切るか」にこだわってください。細い枝を確認したら、その分かれている手前で切って、太い枝から丈夫な不定芽を出して太い枝をつくり、枝の構成をコントロールします。同じ作業をするなら、適切な判断をして最大限の効果を求めたいですし、更新効果をどのくらい長く持たせたいかも判断に関わってきます。浅い更新ではそれだけ更新効果も短いですから、全体の茶園の経営計画から判断してください。「浅刈りか深刈りか」ではなく、枝を見て決めましょう。

基本編ロゴ 更新の深さ
更新位置をずらすテクニック


秋までの時間を長く●4-5-5.更新の時期

一番茶後に行う理由は、茶樹がいちばん活発に活動する秋に、成熟した葉を多く求めるためです。秋までの時間が確保されるほど樹勢が回復しますから、一番茶が終わったら、他作業との兼ねあいを考慮しながら速やかに更新します。


●4-5-6.更新の仕方

更新のとき、深さが均一になるように。 切り口がキレイに切れていることも大切。切れない刃で無理やり切ると枝が裂けてしまい、良い不定芽を求めることができなくなります。 また、樹形は乗用型でR=3,000mm、可搬型でR=1,200mmの弧となるよう、摘採の刃に合わせて整枝します。

また、病虫害の発生も注意してチェックし、必要な場合は速やかに防除しましょう。クワシロカイガラムシを発見したら、葉がなくなった状態の更新時が薬がかかりやすく防除のチャンスです。
基本編ロゴ 枝の機能
枝は貴重な有機物
更新園の防除事例(JA遠州夢咲)


●4-5-7.更新茶園の整枝

更新した茶園は、更新後10〜15日くらいで再生芽(不定芽・赤い芽)が出てきます。この芽が5〜6葉開葉したら、再生芽の整枝を行います。 浅刈り=40日くらい 深刈り=50〜60日くらい 中切り=60〜70日くらい 開葉までの日数は、地域の土壌やその年の天候で異なります。


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