1月号 1.計画の立て方
-1年間の反省と短期計画-

1-1-1.茶樹再生能力と更新計画

茶樹のパワー(再生能力)を長期的に良好な状態で維持するために、深刈や中切りをして摘採面を更新させます。茶の経済寿命は30年程といいますが、茶樹の一生を最大限に活かし、限られた茶園面積を長期的に有効利用するのが賢い茶業。それには茶園の2割を更新するよう指導しています。この2割という数字は均して経済的に安定させるためで、災害や更新効果の具合で自分で臨機応変に調整します。

更新が必要な茶園を判断する
自然を相手にしますから、寒害や病害虫などで茶樹の元気が無くなることもあり、樹齢によっても更新効果が違いますので、回復が必要な状況かどうかは株を見て判断します。そこから管理方法が決まってきますから「2割を絶対に更新しなければいけない」と固く考えることはありません。労力配分などを含めて柔軟に計画しましょう。自分の茶園のマップをつくり、いつでも広い狭い、長期短期の多面的な視点から茶園を見られるようにしておきます。

基本編ロゴ 葉面積指数
樹高はだんだん高くなる?
枝茎の機能

年間計画をたてる 1-1-2.一年間の反省−記録をもとに−

気象条件によって年ごとに異なる茶園管理作業を行っていますから、翌年の計画を立てるには、当年度の気象はどうだったのか、いつどういう作業をしたのかを1年分テーブルに乗せて考えることが大切です。前年度試みて失敗したこと、また行った管理作業で十分な結果が得られなかったことについて、原因を究明して次年度に役立てます。また、成功したことはその実施面積を拡大する。次年度以降の長期的な計画の上で実践していくことの判断材料になるはずです。

基本編マーク 茶園日誌のつけ方

1-1-3.摘採時期の反省

相場に左右される茶業においては、適期に多収で摘採することは重要な課題です。昨年の摘採はどうだったのか、品質と収量のバランス、葉の熟度と相場のニラみ…これは経営の収入面に大きくかかわり、しいては年間の管理計画に影響してきます。高品質多収穫なら所得が上がるわけですから最も望ましい。しかし、需要と供給で相場が大きく変動し、昨年のような豊作貧乏なんてことも起こりえます。そこで、前年の相場の動きから消費動向をある程度読みとっておくこと。そして、今年の消費動向や気象予報に耳を傾けながら、安定的な生産を同時に考えておくことが経営上必要です。

施肥設計をたてる1-1-4.施肥設計

施肥設計とは、生産収量に対してどのくらいの量がいつ必要であるかというのを算出し、茶樹の生育ステージから、一番茶の生育に間に合うように施肥時期を決定することです。
分解が遅い有機肥料などは早めに施し、投下する肥料の分解日数から施肥の適期を収穫時期によって計画します。地域によって品質本位なのか収量重視なのか、生産の方向性がありますから、均一化をはかるために、その生産計画に基づいて施肥を行う場合が多いです。
肥料は、農協の土壌診断をもとに農協に発注している方が多いと思います。また、 大きな茶農協では、土壌診断をもとに土壌の状態をチェックして不足成分や改良の方向から組織独自で肥料を配合して、茶業組合の配合肥料を販売する例もあります。

施肥設計では、環境問題から年間の施肥量が規制されています。静岡県の場合は年間66kg/10a以内(平成11年度現在)。この規制基準もかなり流動的で、これからさらに減少されていくと思われます。ECセンサーで得た正確なデータをもとに、適期適量を心がけることが必要とされています。

基本編マーク 茶園に理想的な土壌とは?
静岡県の土壌改善基準
施肥設計の事例(JA夢咲)

1-1-5.改植・植え付けの計画と準備

古くからの茶産地では、樹齢の高齢化が問題となっています。年のはじめに、自分の茶園の樹齢をみて、改植の計画を立てるなど経営の長期的な見直しをしましょう。改植には、成園になるまでの幼木期間を6年ほど予定する必要があり、苗木の確保や土壌改良等初期投資を含めた経済的負担と、改植後の作業効率化を十分に考慮して計画しなければなりません。そして、現状茶樹の樹齢や作業環境と比較検討しながらタイミングを図って実施しましょう。

改植計画が実施された(古樹を抜いて土壌改良を終えた)茶園では、労働力確保など3月に植えるための準備を早めにやっておきましょう。

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