9月号 2.秋整枝の時期
-計画的な秋整枝を-

秋整枝の時期 ●9-2-1.秋整枝の適期

秋整枝は、最終芽が硬化した時点で行います。もうひとつの判断として、越冬芽が萠芽開葉しないように気温が下がるのを待って実施する必要があります。
茶樹は、整枝した時点で次の芽をつくる「したく」を始めます。早い時期に秋整枝をしてしまって気温が高い場合には、その芽の生育が進んで9mm以上になって萠芽する危険性があり、開葉すると翌年の一番茶の対象となる芽にはなりません。しかし、秋口に気温が上昇するかどうかは予測できませんから、平均気温から安全な時期を求めます。平均気温が18〜19℃以下になれば萠芽開葉の危険は避けられると言われています。このところ秋の気温が高い気象がここ2〜3年続いていますので何月何日という決め方ではなく、気象予報に注意して決定してください。
秋整枝の適期は、静岡県で10月上旬から中旬、九州で10月下旬〜11月上旬とされています(やぶきたの場合)。秋整枝をあまり遅らせると、幼芽の形成が遅れて春整枝と同じような結果になります。それは問題ですから、遅くとも静岡県で10月中旬、九州で11月中旬が限度でしょう。北部や中山間地では、遅くなってから深く整枝すると寒害を受ける可能性がありますから注意してください。

また、早生品種は遅めに整枝し、中晩生、晩生品種は早めに行います。(しかし、整枝をずらすことにより品種間格差が短縮されます。)

基本編ロゴ 秋整枝後の萠芽は危険か?
開葉するとどうなる?
越冬芽
秋整枝の深さと時期が一番茶に及ぼす影響


●9-2-2.幼葉形成と秋整枝の時期

それから、秋整枝から冬までの期間についても考える必要があります。秋整枝をあまり遅くすると、生育停止期(11月頃)までの期間が短くなって幼葉形成に不利な条件となり、越冬芽が小さくなります。私の体験では、通常よりも早く秋整枝した茶園で、幼葉形成の期間が長くとれたために結果として収穫の実績が良かったという茶園がありました。開葉の危険を避けるために気象予報に気を配って安全な時期を選択し、早い時期から計画をたてて秋整枝を実施しましょう。

基本編ロゴ 越冬芽の形成
茶樹の休眠(生育停止期)

秋整枝深さが翌一番茶に与える影響グラフ
※やぶきた、三番茶摘採園で試験
農林水産省野菜茶業試験場

●9-2-3.早い時期の秋整枝が有利

農林水産省野菜・茶業試験場(所在静岡県)で行われた試験では、秋整枝が早い方が越冬芽に使われる養分が有利であるとの結果が出されています(ただし、三番茶摘採園での結果)。早く秋整枝をした方が整枝から休眠するまでの期間がとれるために、越冬芽のアミノ酸含有率が高まって翌年一番茶に好影響を与えます。あまり早くして萠芽・開葉してはいけませんが、茶園の立地から平均気温を考えて適切な時期を選択してください。

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9月号もくじ 9-1:仮整枝 9-2:秋整枝の時期9-3:秋整枝の深さ9-4:秋整枝の注意とテクニック

 

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