特集1.品種
2:地域特性を活かす品種えらび |
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■2-1.産地らしさを伝える品種を選ぶ お茶の品種でブランド製品をつくっても、現状では流通において品種のブランド名だけで価格をあげる要素にはなりません。ですから、地域の特殊性と品種特性を考え、流通を考慮した製品づくりをする必要があると私は思います。たとえば、山間地は山のお茶らしさ、奥深い山の香りを生みだす場所ですから、その特殊性を活かす品種は何かと考えてほしいのです。 |
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■2-2.地域の経営方針と品種 早中晩の組み合わせはもちろんですが、地域の経営方針も品種選定に大きく関わってきます。たとえば、大規模工場を保有し、広い地域で協同製茶を行っている協同組合なら、今後さらに省力化しながら品質向上していく方向にあるとします。その場合は、育成しやすくて安定生産を重視した品種を選定したい。また、山間地の小規模茶園なら、凍霜害の被害を考慮して中生晩生の組み合わせで、収量よりも品質を重視した品種を選定するなどの方向性が考えられます。 私はできれば品種は地域あるいは組織内で3〜5品種くらいに選定した方がいいと思います。 |
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■2-3.品種には一長一短がある これだけたくさんの品種があっても「すべてにほどほど」というやぶきたのような品種は残念ながらありません。それぞれに一長一短があり、品質が良ければ栽培がむずかしい、収量は多いが香りがイマイチなどの短所を含んでいます。これは、やぶきたのように全国的に普及するのではなく、地域特性を活かせる品種開発が進められていると見ることもできます。できるだけ正確な情報をつかんで、地域特性に合った品種を選ぶことが大切なのです。 |
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■2-4.気象や土壌条件と品種 同じ「やぶきた」でも、静岡県でとれたお茶と九州のお茶とでは味が違います。これは主に気象条件、土壌によるもので、お茶の樹の生理生態からいえば、気温が高く推移すれば開葉速度が早く、本土では5〜6日かかるものが4日くらいで開きます。すると、芽の細胞組織の形成に影響し、養分の違いが出てきます。 |
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■2-5.品種が産地ブランドの底力に 現状では、やぶきたのシェアと信頼性のもとには、新品種がブランドの地位を確立するのは容易ではないでしょう。しかしこれからの時代は、地域特性を活かしながら栽培ノウハウをもって、値ごろ感があって品質の高いお茶、生(しょう)のいいお茶をつくれれば、品種が産地ブランドの底力となることも十分に考えられます。また、品種の導入の段階から流通と手を組んで製品開発を行い、産地を活性化していくこともできるかもしれません。 世に出すまでに長い時間を要する品種について考えるときには、時代の流れや流通の変化に対応できる産地の基盤づくりから考えていくべきだと思います。そうした事例としては、実際に「あさつゆ」を導入して成功した御林の例があります。他地域にはできない栽培の仕方を編みだし、土地柄に合った品種を見い出したことはすばらしいことです。 |
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特集1もくじ |1-1:なぜ今品種|1-2:地域特性を活かす|1-3:選定の仕方|1-4:品種構成への期待|1-5:実際に導入するには| |
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主催:カワサキ機工株式会社
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