6月号
3.更新園の整枝
-バランスのよい枝をつくり、葉層を確保- |
一番茶後に深刈り、中切り更新した茶園では、そのまま置くと新しい枝が1m近くまで伸びます。この枝には、新しい葉が立体的について活発に光合成を行います。この伸びた再生芽をそのまま来年まで伸ばしておいて春に手摘みをし、その後刈り落とすのが、茶樹の生理生態上は、もっとも良い方法です。 |
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●6-3-2.更新園の整枝の目的 7月に再生芽の整枝をする理由は、
この2つです。7月に整枝して新しい枝や葉をつくって、茶樹の生態上でいちばん働く秋に葉層を確保しておくことが、翌年の収穫につながるのです。 |
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更新園の整枝は、再生芽の平均開葉数が5〜6枚になった頃に行います(深刈りで5枚、中切りで6枚くらい)。この時期に整枝する理由は、残す枝葉が充実していて良い側芽が得られるからで、遅くても早くてもいけません。
おおよその日数は右のとおりですが、茶園で再生芽の生育や開葉状態を観察して決めましょう。
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●6-3-4.整枝位 置と遅れ芽の処理 再生芽は不定芽ですから、決まった位置から出ないため不揃いになります。再生芽の整枝位 置は、更新の剪枝の切り口から2〜3節残すくらいの高さで行います。また、遅れて伸びた再生芽が多い場合には、可能であれば、およそ10日後くらいにもう一度整枝するのが望ましい。これは、遅れ芽をそのままにしておくと、そこだけ幹が太くなって枝にバラつきが出てしまったり、越冬芽の状態が不均一になるからです。 |
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●6-3-5.更新園の整枝をするか否かの判断 このような整枝は南部地帯では可能ですが、一番茶の摘採が遅い場所では更新が遅くなるので、この整枝を行うと側芽が秋までに成熟しません。すると、未熟な葉で冬を迎えることになってしまいます。北部や山間地の茶園では、更新園の整枝をしないで、秋整枝1回だけにするという方法もあります。そうすると、再生芽を立体的に伸ばしてしっかりした枝が確保できますが、摘採面の葉層確保は不十分になり枝数が増えないため芽数は増えません。 また、樹勢がおもわしくない茶園でも、夏の整枝をやめて葉層を確保することによって回復を早めることができます。 |
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更新園において、再生芽は翌年の芽のためにはたらく大切な葉となります。再生芽を上手に生育させるポイントといえば、やはり適期の病害虫防除でしょう。とくにミドリヒメヨコバイやチャノキイロアザミウマ、カンザワハダニなどに対する防除を適期に行うこと。適期適剤を心がけてください。 |
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●6-3-7.三番茶を摘採する場合 二番茶の頃に更新園の整枝をしますが、三番茶の摘採をする茶園もあります。その場合、早摘みなどをせず、成熟した芽を浅く摘採して次の芽を上手く出すようにしましょう。 |
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●6-3-8.日焼けに注意 更新園の整枝は葉が日焼けすることがありますから、できれば曇った日を選ぶとよいでしょう。夏に第1回目の整枝をする茶園は、枝葉が繁茂していませんからそれほど心配いりませんが、秋整枝1回で処理する場合は着葉量が増え、影になっていた部分がいきなり露出しますから日焼けに注意が必要なのです。日焼けを避けながら越冬芽を揃えるためには秋整枝を2回に分け、2週間ほど間をあけて行います。 |
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