特集2.早期成園化
5:ダメージを避ける-防除と気象災害対策-


初期生育は苗木によって生育差出ますが、活着後の生育では着葉状態によって大きな差が出てきます。とくに大きく出るのは病害虫の被害による差です。また、干ばつや寒害なども大きく影響しますから、これらの災害にたいして充分な処置をとることが、早期成園化のポイントと言えます。


幼木園の側芽■5-1.徹底した防除がポイント

幼木園では、通常成木園では摘採されて残らない新芽が残っているため、成木園と同様の防除ではすまない点がむずかしいところです。幼木園の主な病害虫被害は、チャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマ、カンザワハダニなどの吸汁害虫による被害です。その他にも、チャノホソガ、ヨモギエダシャクトリ、ホコリダニ、サビダニなどの被害も最近増えているようです。
新芽生育期に被害を受けると、生育が抑制されたり側芽が多く出て枝の生長を阻害します。発生消長に気を配り、適期適剤の防除を心がけましょう。

ロゴ [5月号-6]防除のしかた
[3月号-7]苗木計算の仕方
基本編ロゴ 病害虫の発生消長を予察する
●幼木園の防除事例(JA遠州夢咲)


防風ネット
静岡県茶業試験場実証圃場
 
 

■5-2.寒害寒風害対策

●寒風害
寒風害の被害にあいやすい幼木園では、事前に防風垣を設置するなどの対策をとります。畦間のソルゴーやテオシントなどを間作し、支柱を立てて防風垣にするのが効果的です。資材の調達が困難な場合には、丈、雑木、葦などの手近な有機資材を活用しても効果が得られます。また、寒風が吹きつける幼木園では晩秋から初冬にかけて長い枝を7/3〜1/2位剪枝して、風の抵抗を弱めておきくと落葉や枝の損傷を抑えることができます。

●寒害
低温による寒害の対策としては、寒冷紗で棚式被覆を行うか、ワラ、ススキ、葦等で直に被覆します。また、株元に敷き草、敷きワラを厚く敷き込んで保護し、秋の遅い時期に窒素肥料を施用しないように注意します。

●凍霜害
幼木園は自然仕立てのため、成木園よりも凍霜害の被害にあう確立は低くなります。


■5-3.干ばつ対策

夏の幼木園は、着葉量が多いため蒸散量が多く、地表がさらされた部分が大きいので蒸発量も多いですから干ばつの被害を受けやすいものです。蒸発量を抑えるために株元にビニルフィルムや有機資材などのマルチ資材を敷きます。さらに、夏季の高温が続いて雨量が少なくpF値2.3以上になったら潅水します(20mmを1日4〜5mmとして5日位の間断潅水)。


■5-4.台風対策

幼木にとって、落葉や枝の損傷は大きな痛手です。暴風によって枝が折れたり落葉する被害が発生する場合があります。また、強風で株全体が揺れて株元がすり鉢状になると、断根したり乾燥して生育が阻害されます。海に近い茶園では、潮風害によって傷口から赤焼け病菌が感染して二重被害となることもあります。
対策としては、大きな台風の上陸が予測されたら、ネット等の資材で固定する、もしくは風の抵抗を少なくするために枝を1/3程度剪枝するなどの事前処置を行います。

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特集2もくじ 2-1:骨格をつくる2-2:地下部環境2-3:苗木と植え付け2-4:仕立て2-5:防除と災害対策2-6:幼木園の施肥

 

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