You are here: TOPPAGE> お茶草子案内> お茶の効能> 第12回 長寿 |
言わずと知れた世界的長寿大国ニッポン。でも、最近ではダイオキシンだ、環境ホルモンだと、高度成長のシッペ返しが頭の上に降りかかっているみたいですね。そんな世の中だからこそ誰もが望む健康と長寿。ナチュラルな生活と健やかな暮らしを続けたい。今回はとうとう最終回!長寿に貢献するお茶のおハナシです。 |
■寿命とSOD(酵素)の関係ネズミの寿命は2〜3年、イヌは20年、ウシは30年…。動物の寿命はほぼ決まっています。この寿命についていろいろと研究が進められていますが、近年では、染色体の異常によって体細胞の突然変異が起こり、これが老化と密接に関係していることが明らかになっています。では、染色体の異常がなぜ起こるかというと、まだ十分わかっていないのですが、一つには、染色体を構成しているDNAに何らかの傷がつくことが原因といわれています。染色体を傷つけるものとして、実験に使われているのは放射線。でも放射線以外にも工業用化学物質、農薬、食品添加物、大気汚染物質などの化学物質の一部にも傷つける作用があることがわかっています。これらはいずれも身体の中で活性酸素を生成るすことが共通点。そして、その活性酸素の中でもスーパーオキシドアニオンラジカルや水酸基ラジカルなどが主にDNAと反応して傷をつけ、DNAのらせん鎖を切断します。このようなラジカルによる障害の蓄積が老化の正体であるという考え方が、近年注目を集めているそうです。
「では、その“ラジカル”を退治すれば、寿命は伸びるじゃないか。」と思いますね。そのとおり。スーパーオキシドアニオンラジカルを分解するスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)という酵素が体内で生成されてスーパーオキシドアニオンラジカルを分解します。このSODという酵素の活性が高い動物が寿命が長いというデータがあるのです。
|
さらに悪いことに、スーパーオキシドアニオンラジカルなどの活性酸素は、DNAを攻撃して傷つけるだけでなく、身体を構成しているたんぱく質や脂質に働いてさまざまな障害を与えます。中でも「過酸化脂質」は、成人病の減員のひとつとして重用視されてきていて、がん、心臓病、脳卒中などに深く関わりがあるといわれています。
■活性酸素と戦え!では、お茶がこの活性酸素にどのように作用するのか。緑茶の抗酸化効果について実験したデータがあります。以下のグラフは煎茶の粉末をラットの餌に混ぜて与え、50日後に肝臓、腎臓にどの程度酸化を抑制したかを調べた実験の結果です。
ラットに緑茶茶葉粉末3%含有飼料を50日与えた後、肝臓、腎臓の切片を作り、これにBHP(t-ブチルヒドロペルオキシド)、またはBrCCl3(プロモトリクロロメタン)を加えて、フリーラジカルによる過酸化反応を検討。肝臓でも腎臓でも対照(緑茶葉粉末を加えない飼料で飼育したラット)に比べ、過酸化脂質の生成が抑制されていることがわかる。
結果は上のグラフに示したとおり、肝臓、腎臓いずれにおいても煎茶粉末を与えたラットに抑制効果が見られました。別の実験で、お茶の成分の中でに多量に含まれる「エピカテキン」の長期投与でも同様の効果が得られたことから、このエピカテキンが過酸化脂質に対する抑制効果をもつ物質と考えられているようです。
このエピカテキンには、血中脂質の過酸化を防ぐ他にも、血中コレステロールの上昇を抑制する作用も明らかにされています。カテキン類については、現在日本国内にとどまらず米国などでも研究がすすめられていて、このお茶という天然素材から抽出された成分であるカテキンからつくられる健康食品や医薬品への期待がふくらんでいます。
参考:『読むとお茶が飲みたくなる本』 (社)静岡県茶業会議所
静岡県立大学薬学部 富田 勲先生「抗酸化・抗老化作用」より
おしまいの言葉第1回からお茶のさまざまな効能についてお知らせしてきました。これらの効果について私たちは、お茶が薬として飲用されていた昔、人々が伝えてきた知恵を、現代の化学によって解明され立証されてきているのだと受けとめています。医食同源というコトバのように、身体が欲するものを食し、よく睡眠をとり、心身共にゆとりある暮らしを営むことが、健康の基本です。人をもてなしたり団欒したりするときにお茶を1杯いただくことのやすらぎが、お茶のいちばんの効能だと思います。これからもお茶をいただいて健やかにお過ごしください。
| | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | |
お気軽にご意見ご感想をお寄せください。
お茶街道文化会
主催:カワサキ機工株式会社